作文を書いたり、算数の文章題を解いたりするために不可欠な論理的思考。
筋道を立てて物事を考える思考を指し、ロジカルシンキングとも呼ばれます。
この論理的思考は教育現場でも非常に重要視されています。
文部省の国立教育政策研究所は、論理的思考ができる人材の育成を目指し「特定の課題に関する調査(論理的な思考)」を高校生に行っています。
(目的)
我が国のグローバル化の進展を踏まえ,また,学習指導要領においても思考力・判断力・表現力を育むことが重要とされる中で,高校生の論理的に思考する力の状況を把握・分析し,今後の高等学校教育等の改善充実に役立てる(国立教育政策研究所として初めて実施)。
高校生になって単独で調査が行われるほど重要な論理的思考を、早く子どもに身につけさせたいと思いませんか?
小学生のうちに論理的思考を身につけると、どのようなメリットがあり、将来的にどのような能力に繋がっていくのでしょうか。
また実際に論理的思考をアップするにはどのような事をすればいいのか、具体的な方法を紹介していきます。
このページの要点をざっくりいうと
論理的思考が高いと
どんな良いことがあるの?
相手にも物事をわかりやすく伝えること
ができるようになるんだ
論理的思考が高いと学力も高くなり、自分に自信をつけることができます。
子どもが論理的思考を鍛えるには、論理的思考を高めるゲームや遊びをしたり、読書をしたりする事が効果的です。
また日常会話で質問を投げかけることで、子どもが自分で考えるきっかけを作れます。
小学生のうちから論理的思考を鍛えることで、将来に必要なコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、情報を取捨選択する能力を身につけることができます。
小学生の論理的思考力がUPすると良い理由は?
小学生にはまだ早いような…
小学生から意識していくことで
さまざまなメリットがあるんだ
小学生のうちは論理的思考が必要になる機会は少ないのではないか、と考える方も多いと思います。
しかし小学生のうちから論理的思考がUPすることで以下のようなメリットがあります。
全体的な学力が上がる!
算数にも論理的思考が関係するんだ!
図形を使った問題なんかは
論理的思考の高さが試されるよ
論理的な思考ができるようになると、受動的な勉強の仕方から能動的な学習の仕方に変わっていきます。
自分から積極的に様々なことを考えられるようになるため、自ずと考える時間が増え、勉強量もアップします。
また結果に対する過程を言葉で説明しようとする姿勢は、学校の成績にもよい影響をもたらします。
論理的に話を進めていく必要がある国語の作文はもちろんのこと、算数にも論理的思考を生かすことができます。
実際に論理的思考が優れている子どもは、算数の不合理問題(現実的に解を求められない問題)でよい成績を修めていることが分かっています。
論理性得点や反論への考慮得点の高い児童が、現実的で論理的な思考力を必要とする不合理問題において高得点を示すことも明らかにされるなど、教育実践への有用な示唆が得られた。
また算数の文章問題では問題の内容を図で表現することが多いですが、論理的思考の能力が高い子どもの場合、算数の文章題で図を正しく描ける傾向がある事も分かっています。
文章題を図表現する能力と一般的な認知能力との関連性について、図の適切性(易・難の合言辯価得点)と各調査項目の得点の相関を求めた。
その結果、図の適切性は、算数基礎能力と論理的推理能力との間にそれぞれ中程度の相関が、空間把握能力との間には弱い相関が認められた。
実は小学校のうちから、論理的思考が必要な機会は存在しているのです。
自分に自信がつく!
論理的思考を必要とする問題は、難易度が高いものが多いです。
例えば「推理算」と呼ばれる問題は、論理的思考を必要とする問題の代表格です。
複数の人が言っていることをヒントに推理を行い、順位などの物事の順番を当てる問題や、嘘をついている人が誰なのかを当てる問題のことで、中学受験等では高確率で出題されます。
大人でも頭を捻るものが多いですが、解けた時の達成感は非常に大きいものです。
推理算だけでなく、算数の複雑な文章題も、論理的思考が身についていないと解けません。
論理的思考を鍛えることで、これらのような難易度の高い問題が解けるようになるため、自分に自信がつくようになります。
また、論理的思考を使うのは勉強だけではありません。
日常生活などでも自分で様々な仮説を立てたり、理由や因果関係を考えられるようになります。
それが的中することで自信がつき、もっと論理的に考えよう!とやる気を向上させることができます。
小学生でも簡単!論理的思考力を鍛える3つのトレーニング
でもどうやって鍛えれば良いの?
意外と簡単だから安心して
種類によってはゲームも有効だよ!
論理的思考力は小学生でも簡単に鍛えることができます。
おすすめのトレーニング方法は以下の3つです。
効果的な会話で鍛える
なぜそう思ったか?を問いかけることで
考える力が身につくんだ
自分で考えさせることが大事なんだね
熊本大学が小学生を対象に行った調査では、主張のみを述べる生徒に「どうして?」と問いかけを行うことにより、理由付けを述べるなど論理的な主張ができるようになったという結果が出ています。
対話者が「どうしてそう思ったの?」と尋ねると、「1番はちがうかな?」と1と比較して、「空の青い部分」を事実として捉え、その上で「木は(木が紅葉しているという事実を指していると考えられる)秋で」と理由づけしている。
ここには、因果関係による理由づけの芽生えを見ることができる。
普段の会話において、子どもが興味を持ったことについて「どうしてこうなると思う?」「つまり(例えば)どういうこと?」などの質問を投げかけ、子どもが自分で考えるきっかけを作りましょう。
誰かの意見を聞き、どう思ったかを自分の言葉で話してもらうのも良いですね。
自分で理由や意見を考えさせ、それを話してもらう習慣をつけましょう。
論理的に考える力とそれを発信する力が身についていきます。
読書の習慣をつける
読書の習慣をつけることで、論理的な流れを体得することができ、論理的思考力を向上させることができます。
国立青少年教育振興機構の行った調査によると、普段から読書をしている人は、読書をしていない人に比べ、批判的思考力(論理的に考える力)等の「意識・非認知能力」が高いということが分かっています。
読書のツールに関係なく、読書している人はしていない人よりも意識・非認知能力が 高い傾向があるが、本(紙媒体)で読書している人の非認知能力は最も高い傾向がある。
物語の場合、登場人物の心情や物語の出来事を文章から読み取り、なぜこのような言動をするのかを考察・分析することができるため、論理的思考の向上に大いに役立ちます。
考察・分析の際は親も一緒に物語について話をすると、子どもでは読み取れないことに大人が気づくことができるため、より効果を期待することができます。
ゲームで鍛える
これなら楽しく学べそう!
トランプやボードゲームがオススメ!
時間を決めて取り組もう
論理的思考を鍛えることを目的として作られたゲームはたくさんあります。
最近はスマートフォンやタブレット用の無料アプリも増えていますので、時間を決めて取り組ませるとよいでしょう。
家族で楽しめるゲームであれば、大富豪やオセロがおすすめです。
大富豪の場合、手元に残されたカードをどの順番で出していけばよいか、慎重に考えなくてはいけません。
また既に場に出た強いカードの枚数から「これより強いカードはもう誰も出せない」等と推測することが勝利につながるため、楽しみながら論理的思考を高められます。
オセロの場合、縦・横・斜めの3つの観点をふまえながら「ここに石を置いたらどうなるか?」「相手に有利にならないか?」を考えていく必要があります。
ルール自体は簡単ですので、低学年の子どもでも気兼ねなく楽しめる点が良いですね。
論理的思考力が高い小学生が獲得する3つの能力
論理的能力って実際どんなところで
役に立つの?
コミュニケーション能力にも
関係するから、必ず役に立つよ!
低学年の頃は論理的思考を生かす場面は少ないです。
しかし早い頃から論理的思考を高めていくことにより、将来的に以下の3つの能力を獲得できます。
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーション能力
- 自分で未来を切り開いてく力
コミュニケーション能力
伝えるだけじゃなく、相手の気持ちも
予想できるようになるんだね
自分の考えを的確に伝えられると
面接にも有利だね!
論理的思考を高めると、自分がなぜこのような考えに至ったのか、なぜそう思っているのか、理由を順序立てて説明をすることができます。
つまり、相手に自分の考えを的確に伝えられるということです。
受験や就職活動の面接でも役立ちます。
また逆に、相手が何を考えているのかに関しても、根拠を元に論理的に推測できるようになっていきます。
自分の考えを的確に理解してもらい、相手の気持ちを予想できるようになれば、お互いに信頼関係が生まれやすくなり、コミュニケーション能力を向上させることができます。
プレゼンテーション能力
学年が上がるにつれ、授業等で自分の主張を発表する機会、いわゆるプレゼンテーションをする機会が増えていきます。
将来の進路によっては、いずれ会社等で発表やプレゼンテーションを行う立場になるかもしれません。
プレゼンテーションは相手に訴えかけるものですが、いくら発表時の態度がよくても、内容に説得力がなければ成果にはつながりません。
説得力のあるプレゼンテーションは、論理的に組み立てた骨子が不可欠ですので、論理的思考を鍛えておけばプレゼンテーション能力も向上させることができます。
学生のうちだけでなくビジネスでも大いに役立ちますので、論理的能力を小学生の頃から鍛えておくことが将来の武器になります。
自分で未来を切り開いてく力
すべての情報が本当ではないから
嘘を見抜ける力も必要になんだ
情報の本質をしっかり見抜けないと
危険だもんね
今の子ともはインターネット等で随時様々な情報を手に入れることができる、情報過多時代に生きています。
2020年現在、1年間に流れる情報量は1ゼタバイト(10の21乗)になるとも言われています。
この情報の中には、当然ながら嘘のものも混ざっています。
「○○が身体にいい」という類の根拠がない情報が広まり、店舗でその商品が品薄になる、という光景を目にした経験がある方も多いでしょう。
情報を全て鵜呑みにして「なんとなく」で生きていると、情報の渦に飲み込まれて自分を見失います。
嘘の情報を見抜き、本当に必要な情報を取捨選択するには、情報の根拠を探し本質を理解する論理的思考が不可欠です。
自分に必要な情報だけを手に入れることにより、間違ったことに惑わされない、自分で未来を切り開く力を持った人間に育ちます。
論理的思考力は小学生のうちに伸ばそう!
論理的能力っていうと難しそうだけど
少しの心がけで延ばすことができるよ!
楽しみながら身につけられそう!
子どもの論理的思考は少しの心がけで延ばすことができます。
しかし未就学児~小学校低学年のうちは、論理的思考ができる子のほうが珍しいですので、始めの頃は「なぜ?」「どうして?」と子どもに質問をしても、子どもは何と答えたらいいのか困ってしまう場合もあります。
その時は「ママ(パパ)はこう思う」とお手本を示しましょう。
そうすることで論理展開を自然に身につけていけます。
質問をする以外にも、一緒に本を読んだり、論理的思考を育てるゲームを楽しんだりして、論理的に考えることのおもしろさ、奥深さを子どもに教えていきましょう。
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