今の大人が子どもの頃には既に存在していた学校の「宿題」。
宿題には家庭学習を習慣化させると共に、学校で学んだことを家で復習させる目的があります。
提出した宿題を教師が添削することにより、生徒ごとの授業の理解度合いを確認するという意図もあります。
学力向上に効果があるとされ、学校教育の場で長年の実績とともに積み上げられてきたものです。
しかしその宿題がただの義務となり、宿題をやらない、やろうとしない子どもも一定数存在することも事実です。
なぜ子どもは宿題をやらないのでしょうか?
子どもに宿題をやる気にさせるために親はどうすればいいのか、子どもの態度を改善するための工夫について解説をしていきます。
このページの要点をざっくりいうと
また宿題サボって!
遊んでばかりで困るな~
宿題が好きな子はなかなかいないよね
宿題はルールを決めて楽しんでやる
ことが効果的だよ!
子どもが宿題がやらない原因として、宿題が楽しくないこと、宿題の問題が自力ではできないこと、親子の意思疎通が取れていないことが挙げられます。
宿題は授業の内容を復習し、定着させるために非常に重要な役目を果たしています。
子どもに宿題をやらせるためには、無理やり押し付けるのではなく褒めること、宿題の後にゲームをやるというルールを作ること、そして親子で一緒に宿題を楽しむことが効果的です。
宿題をコミュニケーションのチャンスと捉え、子どものやる気を引き出していきましょう。
なぜ宿題をやらないの?
宿題なんて楽しくないしやりたくない
のもわかるんだけどね~
問題がわからないと余計に
やる気にならないよね
まずは子どもが宿題をやらない具体的な原因について探りましょう。
宿題をやらない原因として、宿題に楽しみを見いだせないこと、問題が分からないこと、親子の意思疎通の不足が挙げられます。
楽しくないから
勉強の楽しさは「新しいことを知ること」
その点宿題は授業の復習だから
飽きてしまうのも頷けるね
ゲームやマンガの方が刺激的だもんね
宿題の内容は、学校で既に習った単元の計算ドリルや漢字ドリル、プリントなどが多く、予習が宿題に出されることは少ないはずです。
この事が子どもが宿題をやらなくなる原因の一つになっています。
文部科学省の行った調査によると、小学生が勉強する理由のトップは「新しいことを知るのが楽しいから」。
小学生、特に低学年の子どもは好奇心が旺盛ですので、新しいことが大好きです。
勉強する理由
1.小・中学生の勉強する理由(「とてもそう思う」「まあそう思う」の合計)
新しいことを知るのが楽しいから 小学生79.0%
宿題の内容は授業で学んだことの復習や計算などの反復練習が多く、新しいものではありませんので、子どもにとっては楽しくない存在です。
家に帰ればゲームや漫画など、他に楽しいことはいくらでもあります。
小学生であればどうしても楽しいことを優先しますので、結果として宿題をやらなくなります。
やらないのではなく「できない」
小学校低学年の頃は問題の難易度自体は高くありませんので、一人でも宿題ができると考える方も多いでしょう。
しかし低学年、特に小学1、2年生のうちは一人では宿題ができない子どもが多いです。
低学年の子は語彙が少なく、問題文の意図を読み取れないことがあるためです。
例えば算数の問題で「はいってる水がおおいじゅんに1、2、3をかきましょう」という問題があった場合、何の順番で番号を書けばいいのかを読み取れず問題を進めることができません。
この時親が「水が一番多いものに1を書くんだよ」と口頭で伝えればすんなりと進められますが、小学校低学年の子どもは「問題文を読むこと」にはまだ慣れていないため、どう答えればいいのかまでは自力で読み取れないのです。
もしかすると宿題をやりたくないのではなく、やれないのかもしれません。
そのため子どもに「宿題をやりなさい」と声掛けをするだけでなく、どこで引っかかっているのかを見極める必要があります。
親との意思の疎通がとれていない
特に低学年は一人で勉強を進められない
子も多いから、慣れるまでは親が一緒に
付き添ってあげよう
忙しいから放っておきがちだなぁ
親も気をつけないとね
夕方から夜にかけての時間帯は大人も忙しいですので、子どもにはできるだけ一人で勉強を進めてもらいたいものです。
しかし小学校低学年の頃は、一人では勉強を進められない子どもが多いです。
理由としては前の項目で解説をした「宿題でやるべき所が分からない」「問題が読み取れない」という事だけに限りません。
低学年の子は勉強をする目的や楽しさをまだ分かっておらず、一人では宿題へのやる気を出すことができないためです。
宿題は本来一人でやるものですが、放っておけば一人でできるようになるわけではありません。
まずは親が子どものやる気を引き出してあげることが大切です。
宿題をやり始めようとしたら褒めてあげるなど、宿題をすることが親子のふれあいの時間になるように心がけることが重要です。
宿題を「やらないといけないもの」と押し付けてはダメ
宿題はやらなきゃ
いけないものじゃないの!?
絶対と決められているわけではないけど
宿題にはメリットが多いから
やったほうがいいのは確かだね
宿題は先生からの課題であり、忘れれば当然先生から叱られますので、宿題をやらせるときに「宿題はやらなきゃいけないものだよ」と言ってしまいがちです。
しかし実は学習指導要綱には「宿題を出しましょう」という直接的な指示はありません。
つまり小学生が必ずやらなくてはいけない、と決まっているわけではないのです。
それなら子どもが嫌がることを強引にやらせる必要もないのでは、と考える方もいるかもしれませんが、宿題には大きなメリットがあります。
宿題は復習や知識の定着、学力の向上に役立っています。
ベネッセが行った「学力向上のための基本調査」によると、宿題の取り組みレベルが高い子どもほど社会的実践力育成に関わる課題、学びの基礎力育成に関わる課題にも取り組んでおり、偏差値も高くなっていることが分かっています。
宿題の取り組みレベルと「学びの基礎力」「社会的実践力」とは正の相関関係にある
しかし宿題が大切だからと言って、子どもに押し付けると宿題どころか勉強も嫌いになってしまう恐れがあります。
どうやって宿題へのやる気を引き出せばよいのかを考えていきましょう。
宿題をやらない子どもに親が出来る3つのアプローチ
宿題を強要して勉強嫌いを加速させない
ために、子ども自ら宿題に向かわせる
アプローチを考えよう!
褒める!ルール!親も一緒に!
の3点だね
宿題をやらない子どもに無理やり宿題をやらせるのはよくありません。
以下の3つのアプローチに挑戦し、子どもを少しずつでも宿題に向かわせましょう。
とにかくほめる!
まずはとにかく褒める!
他者からの評価はやる気に
繋がりやすいんだ
褒められるのは誰でも
嬉しいもんね
宿題を好きな子どもは少ないですので、まずは「宿題をする」という行為に少しでもプラスの感情を持ってもらいましょう。
そのために手軽にできることは、とにかく子どもを褒めることです。
ベネッセが行った「宿題への子どもの感想・効果と宿題の効果認識の関係」の調査によると、先生が宿題をやったことを評価してくれると感じた子どもが、勉強への自信を抱きやすいという結果が出ています。
宿題の効果認識と関係の深い宿題の在り方
中2生では、量をこなすことよりも「学習の意義」がわかり、「先生が評価してくれる」ことのほうが自信につながりやすいことを示していると考えられる。
中学生になると学習の意義が分かるようになり、自分で宿題への動機づけをできるようになりますが、その中学生でも一番自信につながるのは「先生が評価してくれること」だという結果が出ています。
他の人の評価は子どもにとってやる気に繋がるものであると言えます。
子どもが家に居る時に評価ができるのは親ですので、宿題に取り組む姿勢を見て子どもをどんどん褒めましょう。
「机に向かった」「自分で宿題の準備ができた」「一問解いた」など、些細なことでも褒めるようにしてください。
宿題は褒められて嬉しい、という快の感情が芽生えるよう、毎日少しずつアプローチをしていきましょう。
ルールを明確に決める
宿題をやらせる上で大きな障害となるのがテレビやゲーム、漫画などの娯楽です。
ゲームを禁止にしよう、と考えたことがある方も多いかもしれません。
しかしゲームを禁止にするより、ゲームを楽しんだほうが宿題も計画的・自主的に取り組める子どもが多いということが朝日学生新聞社のアンケートで分かっています。
ゲームOKの子どもの方が勉強の集中力が高く、宿題も計画的かつ自主的に取り組む
・ゲームOKの子はゲームNGの子より勉強時の集中力が高い(OK81.0%、NG73.3%)。
・ゲームOKの子は宿題を計画的に(OK70.5%、NG60.0%)、自主的に(OK75.9%、NG46.7%)取り組む傾向がある。
ゲームと宿題をうまく両立するには、ルールを作ることです。
宿題をする習慣がまだついていない子であれば「宿題が終わってからゲームやテレビを見る」というルールが効果的です。
ルールを決める上で注意したいことは、ルールに例外を作らないことです。
「宿題が多いから先にゲームをやってよい」というような例外を作ると、同じような例外がどんどん増えていく恐れがあるためです。
そしてルールを決める場合は子どもと相談をし、目的や目標を理解してもらったうえで設定をすることです。
万が一上手くいかなかった場合も子どもと一緒に改善案を考えるようにすると、自主性が育ちます。
一緒に宿題をする
親も一緒に考えたり、競争したり
親子のふれあいの時間にもなるよ!
子どもがどんなところで
躓いているかも把握できるね
繰り返しになりますが、子どもにとって宿題は楽しくないものです。
特に小学生の低学年のうちに出される宿題はひらがなの練習や漢字練習、計算ドリル、音読など、一人で行うには単調なものが多いため、楽しさを感じられません。
しかし宿題は授業の復習が中心であるという特性上、この傾向は仕方がないことです。
そこで子どもに少しでも宿題を楽しいと思ってもらえるよう、大人も一緒に宿題をしてみましょう。
どちらが問題を早く解けるか競い合ったり、お互いに解説をし合ったり、音読をし合ったりしてみてください。
小学生、特に低学年の子どもは親と何かをするのが好きですので、一人で宿題をするよりも何倍も楽しいと感じてくれるはずです。
一緒に宿題をすることで、子どもがどこでつまずいているのか、何が分かっていて何が分からないのかを親も把握することができますので、宿題をスムーズにやらせるためのより効果的なアプローチ方法を考えられます。
宿題をやらないときはコミュニケーションのチャンス!
子どもが宿題をやらないときは
コミュニケーションのチャンス!
くらいプラスに捉えると、親も
イライラしなくて良いかもね
根気強さが大事だね
本来宿題は一人でやるべきものですが、宿題をやらない子どもにやる気を出させるには、親の関わりが必要です。
親子のコミュニケーションが取れている子どもは学力が高いという研究結果もあります。
保護者の子どもへの働きかけについては,次のような家庭で子どもの学力が高い傾向があ
る:(中略)
「子どもと何のために勉強するかについて話している」
「子どもから、学校での出来事や友達のことについて話をする」
「保護者から、お子さんの学校での出来事や友達のことについて話をする」
「子どもから、勉強や成績のことについて話をする」
「保護者から、勉強や成績のことについて話をする」(中略)
小学生について見ると、第一に,学力の高い子ども、特に知識の活用力が高い子どもほど、学習習慣のみならず、読書の習慣がある。
第二に,学力の高い子どもの家庭ほど、保護者が子どもの時間の使い方をコントロールし、計画的に勉強させるだけでなく、本や新聞等の活字文化や、外国語や外国の文化に触れる機会を意識的に作ろうとする傾向がある。
学校の出来事だけでなく、何のために勉強をするのか、そしてお互いに勉強や成績のことについて話をする機会を設けることで子どもの意識アップにつながり、やる気に繋げることができます。
宿題をやらない子どもだからこそ宿題をコミュニケーションツールとして考え、子どもと関わりを持ちましょう。
最初は計画通りにうまくいかないことや、イライラしてしまうこともあるかもしれませんが、毎日の些細な心がけが子どもを少しずつ動かしていきますので、根気よく向き合っていきましょう。
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