子どもは新しいことに触れることで視野が広がりますので、自分から様々な事に取り組んでいってもらいたいものですね。
新しい物事に意欲的に取り組んだり、途中で諦めたりしないためには「自己肯定感」が不可欠です。
しかし日本では、自己肯定感が他の国よりも低い傾向があります。
文部科学省の中央教育審議会で配られた資料においても、日本の高校生の自己肯定感は他の国に比べて低くなっていることが分かっています。
日本の子どもたちの自己肯定感(「人並みの能力がある」、「ダメな人間だと思うことがある」)は諸外国に比べ低い状況であるが、前回調査に比べると肯定的な回答が増加し、否定的な回答が減少している。
確かに日本では謙虚であることが美徳とされている傾向があります。
しかし「自分はダメ人間だ」「自分には能力がない」という気持ちが強いと、何事にも意欲的になれません。
自分に自信がないことが原因で、子どもの将来の可能性を狭めてしまうのは辛いですね。
自己肯定感は人間が生きていく力を支援していくものですので、子どもにとっても不可欠で大切なものです。
では自己肯定感を高めるためにはどうすればいいのかを解説していきます。
このページの要点をざっくりいうと
自己肯定感が大事とは言うけど
どうやって身につければいいの?
自己肯定感を高める秘訣は
「スキンシップ」!
子供の話をよく聞く事が大事だよ
自己肯定感とは自分を受け入れ、尊重する能力のことです。
自己肯定感が高い子は困難に打たれ強く、自分の能力を理解して物事に積極的に取り組めます。
自己肯定感は何歳からでも育てることができます。
親が子を尊重して話をよく聞き、スキンシップを取ることが効果的です。
また成功体験をさせること、日記を書いたり親子で何かを楽しめる時間を作ることも自己肯定感を高めるために有効です。
親子の絆を深めることで子どもの自信につながっていきます。
子どもに自己肯定感が必要な理由とは?
そもそもなんで自己肯定感が必要なの?
困難にぶつかっても打たれ強く
挑戦し続けられる力になるんだ
自己肯定感とは、その文字通り自分を肯定すること。
ありのままの自分を受け入れて、自分を尊重することができる感覚のことです。
自己肯定感が高いと新しい事柄でも「自分ならできる」と自分の力を正しく理解して挑戦ができます。
また困難にぶつかっても打たれ強く、どのような状況でも自分を信じることができます。
先ほど引用をした「高校生の生活の意識に関する調査」によると、自分によいところがあると考えている子は、挑戦心や達成感、自己有用感などが高いことが明らかになっています。
自己肯定感が高い方が、「挑戦心」、「達成感」、「規範意識」、「自己有用感」に関する意識が高い。
また東京都の教職員研修センター紀要においても、自己肯定感の高さは進路の決定や友人関係によい影響を与えることが分かっています。
調査研究では、自尊感情や自己肯定感が高い傾向にある子どもは、進路の目標が明確で、友人関係も良好であることが分かりました。
自己肯定感を高めることで自分に自信が持てるだけでなく、将来の明確なビジョンを抱いたり、友人関係も良好に築けたりする傾向があります。
自己肯定感の高い子どもに育てるために
自己肯定感が大事なのはわかったけど
具体的にどうすれば身につくの?
そうだね、まずは土台づくりが大事だ!
今から説明していくよ
家庭での親の接し方は、自己肯定感を高めるための重要な土台を作る役目をします。
子どもの自己肯定感を高めるために、実際にどのように取り組めばいいのかを解説していきます。
よく話を聞く
子どもとたくさん話をしよう!
親が話しを聞いてくれたという
思いが自己肯定感を育てるよ
受け入れることが大事なんだね!
子どもとたくさん話をすることは、子どもの自己肯定感を高める役目をします。
子どもが話す内容の良し悪しをジャッジするのではなく、子どもの好きなように話をさせ、それを聞くことが大切なのです。
たとえ大人にとって意味のないような些細なことでも子どもにとっては「親に話したい」と思った事柄です。
それを親が「聞いてくれた」という思いが、自分を受け入れてもらえたという実感に繋がっていきます。
「小さいころからずっと一緒の親より、友達に聞いてもらったほうがいいのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし東京女子短期大学が行った友達への「気づかい」と自己肯定感の関係の調査では、友達への気づかいの度合いは自己肯定感と関係がない、という結果が出ています。
友達への「気づかい」は全体として自己肯定感との間には有意な相関は認められなかった。これは、中学生を対象とした久芳ら13の結果と一致するものであった。(中略)
小学生はもちろんのこと中学生・高校生にとっても依然として家族は重要なサポート源であるといえる。
成長するにつれて友達との関わりは強くなりますが、それでも子どもにとって一番話を聞いてほしい相手は親です。
特に女子の場合、話を聞いてあげたことによる自己肯定感は強くなります。
スキンシップを取る
親子のふれあい、すなわちスキンシップはを取ると、子どもは「ここにいてよい」という安心感を得ることができます。
自分がここにいてよいのだという「自己有用感」は、自己肯定感を築く上で大切な要素の一つで、スキンシップで高めることができます。
またスキンシップには「オキシトシン」というホルモンを分泌する効能があり、ストレスを軽減する、不安や恐怖心が減少するなどの効果をもたらします。
オキシトシンと触覚刺激ですけれども、これは、闘争か逃走かということではなく、愛情がこもった皮膚刺激は安らぎと結びつくシステムを活性化し、安らぎの幸福感をもたらします。
この効果は、ストレスや危機に遭ったときほど、直ぐには現われませんが、長く続くことになっております。
具体的にはハグをしたり手を握ったりするのがお勧めですが、年齢や性格によってはスキンシップを恥ずかしがる子もいると思います。
そのような場合は隣に座って一緒に本を読むなど、体を近づけるだけでも効果があります。
子どもがスキンシップを求めてきた時は、家事などほかのことを止めて受け入れることで子どもは大きな安心感を得られます。
具体的に褒める
褒めてあげることも自己肯定感を
高めるとても重要なポイントだ!
~しなさい!ばかりじゃ萎縮しちゃうよ
ついつい言ってしまいがちだから
気をつけないと!
子どもと一緒にいると、つい悪い部分ばかりが目につきませんか?
子どもを自分の思い通りに操作しようとして「勉強しなさい」「早くしなさい」など、「~しなさい」という口調で子どもに指示を送っていないでしょうか。
指示ばかりしていると子どもはその指示に従うだけになり、会話ができなくなります。
もしくは萎縮して親に何も言い出せなくなるかもしれません。
どうしても子どもに指示をしなくてはいけない時はありますが、子どもも自分と対等な一人の人間であることを意識していきたいものですね。
指示をするだけでなく一人の人間として尊重したうえで「○○だから○○だったね」というように具体的に褒めてあげましょう。
子どもを対等な人間としてみなすこと、そして褒めてあげることが自己肯定感を高めるために効果的です。
子どもの自己肯定感を高めるための3つの秘訣
他にも方法があるなら聞きたいな~
自己肯定感を高めるのに効果的なのは
成功体験を積み重ねていくことだね
上記で紹介した項目以外にも、子どもの自己肯定感を高めるために効果的な秘訣があります。
すぐに実行できるものもありますので、ぜひ参考にしてみましょう。
成功体験をさせる
成功体験って例えばどんなこと?
遊びでも勉強でもなんでもいいんだ
成功を繰り返すことで、自分に自信が
つくようになるよ
自己肯定感には「他者から得られる評価によるもの」と「自分の個性を受け止めることによって身につけられるもの」の二つに分けることができます。
内閣で行われた「教育再生実行会議」の第十次提言にも以下のような記述があります。
第十次提言は、自己肯定感について、「これまでも様々な捉え方が示されてきた」とした上で、自己肯定感を以下の二つの側面から捉えることが考えられるとしている。
・勉強やスポーツ等を通じて他者と競い合うなど、自らの力の向上に向けて努力するこ とで得られる達成感や他者からの評価等を通じて育まれる自己肯定感
・自らのアイデンティティに目を向け、自分の長所のみならず短所を含めた自分らしさ や個性を冷静に受け止めることで身に付けられる自己肯定感
前者の自己肯定感は家庭外の他者の評価でも高めることができます。
成績やスポーツ、絵画や工作など、何でも構いません。
誰かから褒められるような分野を一つでも作ることを目標にしましょう。
最初は小さな目標から始め、徐々にステップアップをしていく過程で成功体験を積み重ねていくと、少しずつ自分に自信がついていきます。
そしてそれを友達や学校の先生と共有することで更に自己肯定感が高まっていきます。
気持ちや出来事を紙に書き出す
気持ちや出来事を紙に書く「日記」は、自己肯定感を高めるのにとても効果的です。
日記と自己肯定感は一見あまり関係がなさそうに見えますが、出来事や気持ちを紙に書くことで物事を冷静に考えることができ、自分の長所や短所に目を向けることができるという効果があるのです。
例えば「他人を傷つけてしまい後悔した」「誰かに親切をした」という出来事が同じ日にあった場合、前者の後悔したことのほうが強く心に残る、という方が多いのではないでしょうか。
このような時、紙に出来事や気持ちを書くと、自分の短所と長所両方を見つめることができ、自己受容を促すことができます。
学校の宿題として日記が出されているならそれでも構いませんが、子どもが日記を書くことに積極的でない場合は交換日記をするのもよいですね。
よかったことに対して日記上で親が褒めることができますので、より効果的に自己肯定感を高められます。
親子だけの楽しみを作る
親子で楽しめる何かを作ろう!
親子で過ごす時間が自己肯定感を
高める鍵なんだ
一緒に楽しめる趣味を探したいなぁ
「自己肯定感の高い子どもに育てるために」の項目でも紹介しましたが、親が子どもの話を聞くことは自己肯定感を高めるのに効果的です。
親が子どもの前で家事や仕事などに集中していると、子どもは「お母さんは忙しそうだ」と感じて遠慮をすることがあります。
忙しい毎日の中でも、少しで構いませんので子どものために時間を作ってあげると子どもは安心感を得ることができます。
大掛かりなことではなく普段の趣味の延長で構いませんので、ゲームや遊び、散歩など、親子だけで楽しめる何かを作りましょう。
子どもの好きなものを一緒にやるのも勿論いいですが、親の趣味で子どもも楽しめそうなものを共有するのもおすすめです。
親子で楽しむことで子どもは大きな安心感を得ることができ、自分に対する価値観もプラスに変わっていきます。
子どもの自己肯定感は親子の絆から生まれる
自己肯定感を高めるには
親子の関係が大事なんだね
自己肯定感はなかなか育ちにくいけど、
何歳からでも育てられるから生活の中で
少しづつ意識していこう
自己肯定感はさまざまな人の繋がりから育まれていくもので、一人では育てることができません。
その中でも親との関係が自己肯定感の土台を作っているといっても過言ではありません。
自分の子の自己肯定感が低いと感じたとき、もしかすると自分の接し方が悪かったのではないかと後悔する方もいるかもしれませんが、自分を責める必要はありません。
日本人は自己肯定感が低い傾向がありますので、子どもの性格によっては意識をしないと自己肯定感を育てられない場合があるからです。
自己肯定感は何歳からでも伸ばすことができます。
気づいた時をスタート地点にして、子どもと一緒に楽しく絆を深めていきましょう。
コメント