我慢強い子どもはどう育つ?辛抱強い大人に成長するための親の心得

我慢強い子どもはどう育つ?辛抱強い大人に成長するための親の心得 親子の教育

子どもの成長において養っておきたい能力の一つが「我慢強さ」。

我慢強いとは、あらゆる環境において忍耐力を持ち物事を成し遂げようとする姿のこと。

「苦しいことを我慢する」という意味ではなく、難しい問題が立ちはだかった時に粘り強く考える、試行錯誤する力のことです。

幼稚園教育の場においても、忍耐力をはじめとする非認知能力が大人になってからの生活に大きな影響を及ぼすという事が重要視され、幼児教育に生かされています。

近年、国際的にも忍耐力や自己制御、自尊心といった社会情動的スキルやいわゆる非認知的能力を幼児期に身に付けることが、大人になってからの生活に大きな差を生じさせるといった研究成果をはじめ、幼児期における語彙数、多様な運動経験などがその後の学力、運動能力に大きな影響を与えるといった調査結果などから、幼児教育の重要性への認識が高まっている。

引用元:文部科学省「教育課程部会 幼児教育部会のとりまとめ(案)」

自分の子どもを我慢強い子に育てるにはどうすればいいのでしょうか。

親が心がけたいことや具体的な対策を解説します。

このページの要点をざっくりいうと

このページの要点をざっくりいうと

子どもの我慢強さは生まれつきでは決まらないため、何歳からでも育てることができます。

我慢強い子を育てる心構えとしては、将来なりたい人物像を親子で共有し、大人自らお手本となること、夫婦間で我慢強さの育成に対する認識を共有することが不可欠。

そして子どもに対して達成感を味わわせてその努力を褒めること、失敗を責めないこと、自己肯定感を育てることを心がけていきましょう。

育て方で変わる!?我慢強い子どもの特徴

育て方で変わる!?我慢強い子どもの特徴

我慢強い子どもは、何事にも失敗を恐れず積極的にチャレンジすることができ、好奇心が旺盛です。

結果が思う様にいかなくても、そこで諦めずに改善を重ねていくことができます。

その大きな理由は子ども自身が自分の力を信じることができているから、つまり自己肯定感が養われているからです。

このような「粘り強さ」や「自己肯定感」などの非認知能力(IQなどの数値で測れない能力のこと)については、ある程度は生まれつきで決まっているのでは?と考える方もいると思います。

「うちの子は積極的な性格じゃないし…」と悩む方もいるのではないでしょうか。

しかし非認知能力は生まれつきではなく、子どもの頃の教育で差がつくということがアメリカで行われた調査で明らかになっています。

貧困層の子どもに幼少期に教育を受けさせたところ、教育を受けていない層と比べ、成長後に賃金や犯罪率で大きな差がついたという結果が出たのです。

高所得を得たり、社会的に成功したりするには、IQなどの認知能力と、学習意欲や労働意欲、努力や忍耐などの非認知能力の両方が必要になるわけですが、ペリー就学前計画は、子どもたちの非認知能力を高めることに貢献したわけです。

引用元:ベネッセ教育総合研究所「幼児期の教育・保育を展望する」

つまり自分を信じる力は、子ども時代からの育て方次第で変えることができるのです。

我慢強い子どもに育つ!3つの心得

我慢強い子どもに育つ!3つの心得

実際に子どもを我慢強い、諦めない子にするためには、親が子を導く役目をすることが不可欠です。

まずは親が心得ておきたいことを紹介します。

  1. 将来を見据える
  2. 自分がお手本になる
  3. 夫婦で共通認識を持つ

将来を見据える

将来を見据える

我慢強さは短時間で身につくものではありません。

我慢強さを育てる具体的な方法については後で詳しく解説を行いますが、成功体験を積み重ねて「諦めないこと」が「達成感」に繋がることを何度も体験させなくてはいけません。

そのため明確でなくて構いませんので、目標となる将来のビジョンをある程度抱いておくことが不可欠です。

親が一方的に決めると押し付けになってしまいますので、子どもと一緒に「どのような生き方をしたいのか」「どんな大人になりたいのか」を話し合い、共有しましょう。

子どもと将来のことを考えるよい機会にもなります。

そして子どもが粘り強く努力するだけでなく、親も子どもに対して様々な体験をさせていき、粘り強く我慢強さを積みあげていく必要があります。

自分がお手本になる

自分がお手本になる

子どもには我慢強さを求めているにも関わらず、親がそれに相反した行動をとっていては説得力がありません。

子どもは私たちが思う以上に親のことをよく見ているものです。

親が物事に対してすぐに諦めていては、子どももそれを真似する恐れがありますので、大人も目標を達成するために真摯に取り組む姿勢を見せましょう。

「目標を達成するため」というと大それたことをイメージするかもしれませんが、日常で起こりうる些細なことで構いません。

最後まで諦めない姿勢、トラブルに対して修正する過程を子どもに見せることが大切です。

「固い紐がほどけなくて試行錯誤する」「瓶の蓋が開けられないため様々な工夫をして開ける」というような、ほんの小さなことでいいのです。

子が親の諦めない姿勢を目の当たりにすることで、自分が何かを取り組む際のヒントや勇気をもらうことにつながります。

夫婦で共通認識を持つ

夫婦で共通認識を持つ

我慢強さの大切については、夫婦間での共通認識も大切です。

片方が我慢強さを育てるために奮闘しているにも関わらず、もう片方がすぐに諦めさせていると、努力が実にならず子どもも混乱します。

夫婦で一貫性を持たせることは子どもの情緒の発育にも大きな影響を与えます。

和歌山大学教育学部教育実践総合センターが幼児と親子を対象に行った調査によると、母親だけが子どもに厳しい態度を取っていると子どもの攻撃性が上がるということが分かっています。

母親の統制が強く父親の統制が弱い場合(母統制型)、男子は高い自己主張と強い攻撃性を、女子は強い攻撃性を形成する可能性がある。(中略)

両親共に矛盾の少ない一貫した養育態度が、特に男子の自己制御の発達に望ましい影響を与えるようだ。

引用元:和歌山大学教育学部「幼児の自己制御機能の発達研究」

子どもの性格や性別によって教育態度に査をつけることは大切ですが、夫婦間の指針で矛盾がないことが発育にもよい影響を与えるということが分かっていますので、ある程度の方針を夫婦間で話し合っておきましょう。

我慢強い子どもの育て方

我慢強い子どもの育て方

それでは実際に子どもを我慢強い子に育てるのはどのようにすればいいのか、具体的な方法を紹介し解説をしていきます。

達成感を経験させる

達成感を経験させる

子どもが「やりたい」と言ったことにはできるだけ挑戦させましょう。

そして子どもが我慢して何かを達成したら、それを褒めてあげることで子どもは達成感を味わうことができます。

低学年の子どもは親に褒められるととても嬉しいものです。

子どもを褒める際はとにかく褒めればいいというわけではなく「最後まで努力したこと」という過程に対して思い切り褒めるようにしましょう。

子どもは自分自身の性格を褒められると挑戦心が低下し、努力したことを褒められると挑戦心が上がるということが分かっています。

自己への賞賛(例えば、「難しい問題が解けるなんて、頭がいいのね」)と努力への賞賛(例えば、「難しい問題が解けるなんて、よく頑張ったのね」)では、後者は困難への挑戦心を高めるのに対し、前者は困難への挑戦心を低下させることが明らかにされている。

引用元:関西福祉科学大学「困難への挑戦心を支える認知的基盤: 領域自尊心に着目して」

努力したことを褒めることで「最後まで努力すること」=「良いこと」「褒められること」と考えるようになり、少しずつ諦めない心が育っていきます。

失敗を責めない

失敗を責めない

物事に挑戦する過程において、途中の失敗はつきものです。

子どもが失敗をしたときに親が「叱る」「落胆する」「イライラする」などのマイナスの言動をとってしまうと、子どもは失敗を嫌がるようになります。

すると失敗を恐れて自分から新しい事に挑戦しなくなったり、途中で諦めたりするようになり、我慢強さが育たなくなります。

また失敗を理由に叱られることで子どもは自己嫌悪に陥ります。

「頑張ったのに失敗したのは自分が駄目なせいだ」と自分を責め、自分に自信が持てなくなっていきます。

自分への自信は我慢強さには不可欠なので、このような事は絶対に避けたい事態だと言えます。

そのために親は子どもの失敗も含めて受け入れることが大切です。

子どもが失敗をしても明るく励まし、子どもを応援してあげましょう。

自分を愛する態度を支援する

自分を愛する態度を支援する

我慢強さを育てるには自分への自信が重要であることは先述の通りです。

自分に自信がないと我慢強く試行錯誤ができませんので、自己肯定感、自分を愛する心は我慢強さの土台となる部分であると言えます。

しかし日本においては子どもに限らず「自分に自信がある」と思っている人はあまり多くない傾向があります。

内閣府が発行している「子ども・若者白書」によると、日本の若者は外国に比べて自己肯定感が低いことが分かっています。

日本の若者は諸外国と比べて、自己を肯定的に捉えている者の割合が低く、自分に誇りを持っている者の割合も低い。

日本の若者のうち、自分自身に満足している者の割合は5割弱、自分には長所があると思っている者の割合は7割弱で、いずれも諸外国と比べて日本が最も低い。

引用元:内閣府「平成26年版 子ども・若者白書(全体版)」自己認識

日本は他の国に比べて謙虚な振る舞いを重視する傾向があるため、外国と比べると自己肯定感が低くなりがちではあるのですが、だからこそ子どもの自己肯定感は意識して育てていかなくてはいけません。

自分は目的を達成する力がある!と信じて目的のために自分をコントロールする過程を、温かく時には厳しく見守り、支援をしていきましょう。

我慢強い子どもに成長するためのサポートをしよう!

我慢強い子どもに成長するためのサポートをしよう!

物事を途中であきらめる子どもは元々我慢強くないというわけではなく、自分の気持ちにブレーキをかけている状態です。

まずはその気持ちを開放し、子どもに様々なことに挑戦させてあげましょう。

そして失敗をしても叱らずに励まし、成功したら過程を褒めてあげてください。

そうすることで子どもは自己肯定感を高めることができ、我慢強く挑戦することの充実感や達成感を味わうことができます。

我慢強さは生まれつきでの性格で決まっているわけではないので、今からでも十分育てることができます。

もちろん成長スピードに個人差はありますが、親の心構えや支援の仕方で何歳からでも我慢強さは伸ばせます。

親が我慢強く挑戦する姿勢を見せながら、根気強くサポートをしていきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました