子どもが勉強していないと、つい「勉強しなさい!」って怒っちゃう。
でも、何も言わないのはダメな気がして…
こんな時、どんな風に声をかけたらいいの?
将来のことを心配するからこそ「勉強しなさい」って言いたくなるよね。
今回は、子どもが自分から勉強するようになるコツを解説するよ!
家で勉強をしない子どもについ言ってしまう「勉強しなさい」。
しかしそう促したところで子どもは嫌々机に向かったり、なかなか動かなかったり。
結局お互いにイライラするだけになってしまうことも。
それなら「勉強しなさい」は言わないようにしよう、と思っても親が何も言わなければそのまま勉強しない子がほとんどです。
勉強せずにテストで悪い点数を取ったり、授業に追いつけなくなったりしたら大変なので、親としてはどうしても勉強を促したくなりますよね。
子どもはなぜ「勉強しなさい」と言っても勉強をやらないのでしょう。
効果的な声掛け方法はあるのでしょうか。
そもそも、親が声をかける前から勉強してくれればそれが一番嬉しいですよね。
自分から勉強する子どもにするにはどうすればいいのかについても解説していきます。
このページの要点をざっくりいうと
子どもが親の言う「勉強しなさい」に反発するのは、指示に反発する心理的リアクタンスが働くことが主な原因です。
反発心を抱きながら行う勉強は身につきません。
命令形で指示をするのではなく、子どもが今していることを肯定し、やるべき課題を整理させたあと、気持ちに共感して勉強の提案をするのが効果的です。
また親が何も言わなくても勉強する子に育てるには、好きな科目に取り組ませて勉強へのプラスのイメージを抱かせること、集中できる環境を整えるのがお勧めです。
「勉強しなさい」に反発するのは人として当たり前のこと
こないだも、「うるせえババア」って言い返されたんだよね!
これって本心で言ってるの?
子どもが反発してしまうのは、心理的な効果が大きいんだ。
例えば大人でも、「部屋を片付けてよ」と怒られたら反発したくなるよね。
そもそも子どもが親の「勉強しなさい」に反発するのには心理学的な理由があります。
人間は何かを強制されると、それが自分にとってよい事だと分かっていても反発したくなるのです。
これは1966年に心理学者のジャック・ブレームによって提唱された理論で「心理的リアクタンス」と呼ばれています。
これは子どもに限ったことではなく、人間であれば当たり前のこと。
休日はいつも家族の制止を振り切ってギャンブルに行く人が、家族に「今日は家に友達を招くからいつも通りギャンブルに行ってね」と言われた途端、出かけずに家で日曜大工をし始めたというような事例があります。
つまり子どもに勉強するように声かけをしても勉強をしないのは、「反抗期だから」「勉強が嫌いだから」という個人的な理由ではなく、心理学が関係しているからです。
「勉強しなさい」が逆効果になる具体的な3つのワケ
子どもにとって「勉強しなさい」と言うのはあまり効果がなく、むしろ逆効果です。
その理由3つについて、心理的リアクタンスを踏まえながら具体的に解説をしていきます。
権利を制限されたと感じるから
「権利を制限」って…どういうこと?
勉強は「義務」だよね。反対に、自由に過ごす時間は「権利」。
この「権利」を理不尽に制限される≒ゲームせず勉強しろ!と言われると、
ついつい反発したくなってしまうんだ。
日本国憲法において、国民は勤労の義務を負うよう定められています。
それと同様、勉強をすることは子どもの義務もしくは仕事だと考えている方もいるでしょう。
子どもは将来生きていく上で必要なことを学校で学んでいきますので、勉強は子どもにとっての仕事であると言えます。
しかし義務があるなら権利もあるはずです。
子どもにとって勉強が義務であった場合、権利は何でしょう。
子どもにとっての権利は、自由にゴロゴロしたり、ゲーム等で遊んだりすることに当たります。
ですが親はどうしてもこの権利を制限し、義務を子どもに押し付けてしまいがち。
権利を侵害すると先述の心理的リアクタンスが起こります。
しかも心理的リアクタンスすなわち反発は、理由が理不尽であるほど大きくなるとされています。
侵害の不当性あるいは非合法性が増加すると共に、暗々に侵害される自由の数が増加し、その結果、喚起されるリアクタンスの強度が増大すると考えられる。
権利が制限されているのに義務を押し付けられるのは子どもにとっては理不尽ですので、反発が大きくなり、勉強をしなくなります。
自分を否定されたと感じるから
子どもに「勉強しなさい」と言ってしまう状況はどのような時か思い出してみましょう。
机に向かってノートなどの学習道具を準備している時や、実際に勉強をしている最中には勉強しなさいとは言わないはずです。
大概子どもがダラダラとしている時、もしくは勉強に関係ないことをしている時だと思います。
勉強をしなくてはいけない状況にも関わらず、全く勉強をせずに過ごしている様子を見ると「自分の状況が分かってない!」と考え、つい声をかけてしまいますね。
そのような気持ちで子どもを叱ると、子どもは自分が否定されていると感じます。
子どもも人間ですので、当然自我があり、自分を否定されたら自らを守ろうとします。
教育評論家の親野氏は、親が「勉強しなさい」と叱ることについて、以下のように述べています。
叱られてばかりいると、子どもの自我が傷つき、何とか自分を守ろうとします。
子どもは「勉強、勉強って……。なんでお母さんは勉強のことばかりムキになるの? 勉強ってそんなに大事なの? もっと大事なことがあるんじゃないの? 勉強なんてできなくても、立派に生きている人はいっぱいいるよ」と考えるようになります。
ただでさえ勉強は子どもにとって権利を制限するものです。
その上勉強が原因で自分を否定されると、さらに勉強への意識が遠ざかってしまいます。
強制されてやる勉強は身につかないから
勉強しなさいと言うと嫌々始めるけど、すぐどこかに行こうとしちゃう。
そんな時、「椅子に座ってなさい!」って怒っちゃったんだ
家でちゃんと勉強できないと、学校にも響く気がするよね。
でも、大事なのは「椅子に座ること」なのかな?
「勉強しなさい」と言って勉強を始めさせたものの、勉強中の態度を見てまた叱ってしまう、ということはありませんか?
親に叱られたことをきっかけに勉強を始めた場合、集中して取り組める子は実は少ないです。
心理学に「吊り橋効果」と呼ばれるものがあります。
吊り橋を渡った後に異性に出会うと相手が魅力的に見えるというもので、外的な要因による動機を恋愛と勘違いしてしまう現象のこと。
この吊り橋現象と似たことが勉強においても起こります。
親に叱られて嫌な気分になると、その直後に行うべき勉強に対しても嫌なイメージがついてしまうため、勉強に集中ができません。
やる気がないまま勉強をしても身につきません。
集中して勉強しているように見えても、何も考えず文字を書いているだけだったり、ぼんやりと問題を解いているだけだったりと、ただ「なんとなく」やっているだけになります。
答えを間違えてもなぜミスをしたのかを確認しないため、正しい内容が身につかず、せっかく勉強に時間を費やしても意味がありません。
強制的に勉強させたとしても、子どもにメリットは何一つないのです。
「勉強しなさい」以外の効果的な声かけ方法
「勉強しなさい」がダメな事は分かったけど、じゃあ何て声をかければいいの~!?
ここからは、子どものやる気を自然に引き出せる言葉を紹介するよ!
「勉強しなさい」が逆効果なら、どう声掛けをすればいいのでしょうか?
子どものやる気を引き出すような言葉の掛け方を紹介していきます。
まず今していることを肯定する
「何で○○してないの?」とは言わずに、「今日は勉強を頑張ったんだね」と今していること、やったことを肯定してあげてね!
一旦肯定を挟むのが大事なんだね!
自分の好きなことを楽しんでいる時にガミガミ言われたり、疲れて帰宅した後すぐに「○○をやりなさい」等と言わたりすると、誰でも憂鬱な気持ちになります。
親は子どもに勉強してほしいあまり、ついそのような声かけをしてしまいがちです。
子どもも大人と同じ人間であることを意識するようにしましょう。
繰り返しになりますが、人は命令をされると反発したくなります。
なかなか動かない子どもに対してつい「○○しなさい」という言い方をしてしまいますが、まずは相手の行動を肯定することから始めましょう。
学校から帰ってきて疲れていそうだったら「疲れちゃったね」、ゲームをしていたら「ゲームをしていて楽しそうだね」というように、相手の様子を言葉にしてみてください。
行動を肯定することで、子どもも素直に親の話を聞いてくれるようになります。
子どもの頭のなかを整理してあげる
低学年のうちは勉強の意義について完全に理解できません。
そのため勉強に対する優先度がどうしても低くなり、宿題よりもゲームやテレビなどの楽しいことを優先してしまいます。
そこで子ども自身が何をすべきなのか、抱えている問題が何なのかを整理する手助けをしてあげましょう。
やるべき事を子どもに考えさせ言葉として出させることで、何をすればいいかが自分で分かります。
また「言霊」という言葉があるように、人の言葉には力があります。
やるべき事を口に出させることで「やらなくては」という意識が働きます。
しかし宿題をやらせたい時に「宿題があるんじゃないの?」とたずねた場合、子どもは宿題の有無しか考えられませんので、「何が宿題だったの?」等、自分でやるべきことを考えられるようなたずね方をしましょう。
共感してから提案する
そういえば、子どもの気持ちに寄り添えてなかったかも…
子どもも勉強の必要性については分かっているはずだよね。
責めずに、気持ちを聞いてみてね!
そもそも子どもはなぜ勉強をしないのでしょうか。
子どもは勉強をする意味までは理解できなくとも「勉強はしなくてはいけない」という事は分かっています。
それでも勉強をしないということは、必ず何か理由があります。
やりたいゲームや観たいテレビがあるかもしれませんし、今やっている単元が難しくて憂鬱なのかもしれません。
もしかすると学校で嫌なことがあって勉強どころではない可能性もあります。
まずは子どもの気持ちを聞いて共感してあげましょう。
その上で具体的な行動を提案してあげてください。
「ごはんの前にこの宿題だけやろう!」等、子どもが本当にやりたいことを否定せず、遊びも勉強も両方頑張れるようにしよう!という気持ちで前向きに声掛けしましょう。
「勉強しなさい」がいらなくなる2つの方法
理想は「勉強しなさい」って言わなくても自分で勉強してくれることだよね。
そうだよね!
ここからは、自分で勉強するようになるためのコツを紹介するよ。
ここまで子どもの声掛け方法について解説をしてきましたが、声をかけずに自分から勉強をしてくれれば一番楽ですよね。
声かけをしなくても勉強をする子になるには、どのようなことを心がければいいのでしょうか。
勉強に嫌なイメージをつけない
そういえば、私が子どもの時も「勉強=嫌なもの」ってイメージだったかも…
勉強自体を「楽しい」「面白い」と思えたら、自主的に学習する力がつきやすいよ!
物事に一度「嫌なもの」というイメージがつくとそれを覆すのは難しいですよね。
子どもにとっての勉強も同様です。
「勉強は辛い」「勉強は強制的にやらされるもの」というイメージがつくと、それを払拭するのは難しいです。
しかし嫌なイメージを消そうとすると逆に執着する恐れがありますので、悪いイメージを消そうとするのではなく、勉強へのよいイメージを追加することを心がけましょう。
まずは子どもが好きな分野、興味がある分野から始めさせるといいでしょう。
例えば漢字が好きなら漢字だけで構いませんし、生活科でもいいのです。
好きな分野から取り組ませることで、机に向かうこと、つまり勉強へ向かうことへの抵抗が薄くなります。
そして一つの分野に対して自信がつくと、その分野のテストでいい点数を取ったり、先生や友達から褒められたりして、勉強への楽しさを実感できるようになります。
子どもには全科目を満遍なく勉強してほしいですが、まずは子ども自身のやる気を引き出すこと、勉強そのものへの抵抗を薄くする事から始めましょう。
いずれ他の教科にもプラスのイメージが広がっていきます。
勉強しやすい空間を用意する
人によって「勉強しやすい空間」は違うよね!
兄弟でも、勉強しやすさはそれぞれ。
その子に合わせた環境作りが大切だよ!
子どもが勉強するための環境として、リビングで勉強をさせる「リビング学習」を推奨する方をよく見かけます。
静かな勉強部屋よりも生活音のあるリビングのほうが集中ができる、親の目が届き分からない問題を教えてあげられる、というのがリビング学習の利点です。
しかしリビングが集中力に効果的だからと言って、テレビがついたままだったり兄弟を叱っている声が聞こえたりする場で勉強をさせるのは逆効果です。
大人が喫茶店で仕事や学習をする時と同様、自分に関係のない会話や雑音が聞こえるからこそ集中できるのです。
自分に関係のある兄弟に関する会話や、子どもにとって大きな誘惑であるテレビの音が聞こえる状況では集中できるわけがありません。
子どもにリビング学習をさせるのであれば、テレビはつけない、兄弟にあれこれ口出しをしない等、集中できる環境を整えてあげましょう。
リビングでそのような環境を作るのが難しい場合、勉強用の個室やスペースを作ってあげて下さい。
廊下や台所の隅、階段の下など、リビング以外の場所を勉強スペースとして設けているご家庭もあります。
親が子どもに合った場所を考えてあげることが大切です。
「勉強しなさい」をやめれば自分から勉強する子になる
勉強を嫌がる子どもに対し「勉強しなさい」と言い強制的に勉強させることはできますが、誰かに無理やりやらされる勉強は身につきません。
言わないとやらない子に育つため、大学生になってもずっと言い続けなくてはならない恐れもあります。
今回紹介した「勉強しなさい」以外の声掛け方法や、自分から勉強をする子どもにするための心がけについては、忙しくて実践が難しい方もいるでしょう。
勉強しない子どもを見るとやっぱりイライラが勝ってしまう、という方も多いと思います。
しかし後々のことを考え、「勉強しなさい」がいらない子どもに育てられるよう、少しずつ意識をしていきましょう。
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