自分の子どもには賢い子に育ってほしいものです。
しかし、学校のテストの点数がよいだけで十分でしょうか?
学校の授業や教科書の内容を覚え、完璧にする事は決して「賢い」とは言えません。
自分で考える能力、応用力を問われやすい受験では失敗する恐れがあります。
また子どもたちが大人になる頃には、AIは今以上に発達を遂げているでしょう。
多くの仕事がAIに取って代わられることが予想されていますので、これから先の未来を生きぬくためには本当の賢さが非常に重要なのです。
ではどのような子が「賢い子」なのでしょう。
子どもが賢いかどうかは、テストの点数では見分けることができません。
「賢い子」と言われる小学生はどのような特徴があるのか、詳しく紹介していきます。
また、子どもが本当の意味で「賢い子」になるためには、親のサポートが不可欠です。
子どもを賢い子にするために親が心がけたいこと、子どもへの適切なサポート方法についても解説していきます。
このページの要点をざっくり言うと
賢い子に育ってほしいとは思うけど
どうしたら良いのかわからないな~
まずは賢い子とはどんな子を
指すのか、整理してみよう!
賢い子とは自分で考える力があり、知的好奇心が旺盛で、コミュニケーション能力に秀でた子です。
そのような子どもに育てるためには、子どもに他人との交流の機会を与え、知的好奇心を育てることが大切。
そのためには子どもを過剰に子ども扱いせず意見を尊重すること、「子どものため」と「自分のため」をはき違えないことを心がけましょう。
子どもの気持ちを汲むことができ、好奇心の目を育てられる賢い親になることを目指すことが重要です。
「賢い子」と言われる小学生の特徴
まず言えるのは、勉強できる子が
賢いわけではないんだ
これは目からウロコ…!
テストの点数に焦点を当てると「勉強ができる子どもが賢い」と考えてしまいがちです。
しかし勉強ができるようになるためには、まず勉強をしなくてはいけませんよね。
そのためには効率的に自分で学んで考える「賢さ」が不可欠。
つまり勉強ができるから賢いのではなく、賢いから勉強ができるのです。
では一体何を基準にして子どもの賢さを測るのでしょう。
実は子どもの賢さにおいては、コミュニケーション能力や好奇心が非常に重要視されていることが分かっています。
自分の考えを持っている
相手にどうすれば伝わるかって
考える力が必要だもんね
伝える力、相手の気持ちを考える力
どちらも身につけることが大事だね
文部科学省が行った「全国学力 ・ 学習状況調査」によると、自分の考えを相手にしっかりと伝えることができている生徒が、教科の平均正答率が高いことが分かっています。
学校質問紙で調査した児童の様子でも、平成 25 年度に新規で調査した項目について、以下と回答した学校の方が、教科の平均正答率が高い傾向が見られた。
- 児童は学級やグループでの話合いなどの活動で、自分の考えを相手にしっかりと伝えることができている
- 児童は学級やグループでの話合いなどの活動で、相手の考えを最後まで聞くことができている
文部科学省が行った「全国学力 ・ 学習状況調査」によると、自分の考えを相手にしっかりと伝えることができている生徒が、教科の平均正答率が高い傾向があることが分かっています。
自分で考える力がないと、困った時にすぐに逃げたり、放置したりします。
つまり勉強が嫌になった時もすぐに逃げてしまうということです。
自分の考えを持っている子は、自分で善悪や優先順位を考え、それに沿った行動ができます。
勉強の意味を自ら考え、自分にとって必要だという事が理解できるため、遊びの誘惑に負けず学習に取り組めます。
自分で考える力は、テストや入試においても非常に重要です。
近年では小学校や中学校において、自分で解決法を考える問題、思考力を問う問題が増加している傾向があります。
そのような問題は自分で考える力がないと解くことができません。
つまり考える力があるという事は、本当の意味での賢さだけでなく、学習面での賢さの証拠でもあるということです。
相手や状況に合わせた判断ができる
先述の文部科学省による「全国学力 ・ 学習状況調査」では、相手の考えを最後まで聞くことができる生徒も、教科の平均正答率が高いことが分かっています。
相手の考えを聞くということは、自分にはできなかった考えを身につけられるということ。
そうする事で自分自身の思考力の幅が広がります。
つまり柔軟に物事を考えられるようになり、賢さに繋がります。
また、相手の話を最後まで聞き、相手の気持ちや置かれた状況を判断できる子は、自分本位で行動しなくなるため人間関係が円滑になります。
人間関係が円滑になると、教師など目上の人からも好かれるようになります。
学校の教師は全ての生徒に平等に接することを心がけていますが、教師も人間ですので、どうしても「お気に入りの生徒」というのは出てきます。
そして受験等における内申書は、教師に好かれている生徒が有利であるのが現実。
就活においても、目上の人に好かれていた方がうまくいく傾向があります。
つまり人間関係がうまくいく子がテストや入試、就活でもうまくいき、周りから「賢い子」と言われるようになるのです。
知的好奇心が旺盛
好奇心は学習につなげるチャンス!
面倒臭がらずに付き合ってあげよう
ついダメって言ってしまいがち
だから、気をつけないと!
知的好奇心とは、自分から物事をもっと知りたいと思う心のこと。
知的好奇心が旺盛な子どもは、身の回りの様々なことに興味をもちます。
「なぜ?」「どうして?」と自分で考えたり、本やインターネットで自分から物事を調べたりする事を繰り返すことで、知識が広がって脳に蓄積されていきます。
知識が豊富であれば、困難があっても試行錯誤して乗り越えることができます。
また、物事に熱中して自分で調べたり考えたりした経験は、勉強への楽しさにも繋がっていきます。
「分からないことが分かるのは嬉しい」という喜びが学校の勉強にもあることに気づけば、自分から進んで机に向かう子になるでしょう。
知的好奇心は脳にもよい影響を与えます。
人が何かに夢中になり「楽しい」と感じると、脳はドーパミンを分泌します。
ドーパミンには記憶や学習に関する機能(高次認知機能)が活性化する働きがあり、集中力や記憶力の上昇、意欲の上昇に繋がるのです。
小学生を賢い子に育てる親が心掛けている3つのこと
私達、親ができることってあるの?
たくさんあるけれど、まず言えるのは
先回りして助けないことだよ!
全ての賢い子が生まれつき賢いわけではありません。
子どもの賢さには環境にも影響されますので、親のサポートがないと「賢い子ども」になるチャンスを失ってしまう恐れがあるのです。
では実際に小学生を賢い子に育てている親が心がけていることとは何なのでしょうか。
実践していることを理解し、普段の生活に取り入れていきましょう。
先回りして助けない
親としては心配でついつい
手助けしてしまうなぁ
まずはやらせてみることが大事だね
でも本当に困った時は、すぐに助けてあげよう!
子どもが困っていると、親としてはどうしても助けたくなりますよね。
しかしそこで先回りして助けてしまうと、子どもは自分で考えて行動する機会を失います。
困った時は誰かが助けてくれるという意識が育ってしまうため、諦めやすい子どもになる恐れがあるのです。
賢い子を持つ親は、子どもが小さいころから遊んだり様々なことに挑戦する様子を見守っています。
親が手伝えばすぐに終わることに試行錯誤する様子は、見ているとイライラする事もあると思います。
しかしそこを辛抱強く見守ることで、自分で考える力を持った粘り強い子に育てることができるのです。
子どもを賢く育てるには早期教育が効果的だと考える方は多いでしょう。
しかし中学受験専門の講師として5000件以上の家庭を指導した小川大介先生は以下のように述べています。
”低学年まで伸び伸びと過ごしてきた子は、新4年生で入塾したときは、授業に追いつくのもやっとでしたが、学年が上がっていくうちにじわりじわりと成績が伸びていくケースが多いのです。
その違いは何だろう?と考えた結果、発見したキーワードが『熱中力』でした。
小さいときに、どれだけ熱中体験をしてきたか。
実はそれが頭のいい子を育てる最大の条件だったのです。
学年が上がっても遅れを取らない、本当の意味での「賢い子ども」に育てるには、低学年のうちに自分で問題を解決する力をつけさせることが大切です。
自分で問題を解決できる、つまり粘り強く諦めない子は勉強で難しい問題にぶつかっても様々な工夫をして答えを導こうとしますので、勉強でも成果を上げることができます。
コミュニケーションの機会を与える
スマートフォンやSNSの普及、ウイルスの影響により、生身の人間同士のコミュニケーションの機会は減少傾向にあります。
SNSでのやりとりもコミュニケーションの一種だと考える方は多いでしょう。
しかし相手の書いた文章を読み、考えて入力するSNSはコミュニケーションよりも文章読解・作文に近いと言えますので、文字のやりとりではコミュニケーション能力は養えません。
一方生身の人間同士の会話は、瞬時に相手の気持ちを読み取り、その場で臨機応変に行う必要があります。
人と会いコミュニケーションをする機会を増やすことで判断力を養うことができるだけでなく、人間関係を円滑に進めるためのコツを身につけられます。
内閣府が青少年育成関係者に対して発行している「子どもと若者」では、親や先生以外とのやりとり、つまり縦の関係ではなく、それ以外の斜めの関係がコミュニケーションを豊かにすると述べられています。
お父さん、お母さんと子どもの関係では、やはりどうしても命じる口調になってしまいます。
あるいは駄目だったら怒るでしょう。
先生、生徒もそうなのです。
縦の関係だと、どうしてもコミュニケーションを切るようなコミュニケーションになってしまう。
だから、斜めの関係こそがコミュニケーションを豊かに育てていくわけです。
家以外の場所で家族以外の人と接する機会を幼いころから設け、身内以外の人と触れ合う体験をすることで、人の心を考える能力、臨機応変に状況を判断する能力を身につけられます。
子どもの「なんで?」を大切にする
忙しいとつい質問を
はぐらかしちゃうや…
気持ちはわかるけれど、好奇心が育つ
チャンスだから付き合ってあげよう
子どもが「なんで?」「どうして?」と聞いてきた時の答えに困ったことはありませんか?
例えば「なぜ月は形が変わるの?」と質問されたとき、小学校低学年に理解できる言葉で教えるのは少し面倒に思いませんか?
また「神様はどこにいるの?」というように、大人でも思わず答えに悩んでしまう質問をされたこともあるでしょう。
忙しい時はそのような質問を適当にあしらってしまう事もあるかもしれませんが、そうすると子どもは疑問に思うことをやめてしまい、知的好奇心が育たなくなります。
子どもの「なんで?」は知的好奇心を伸ばすための大きなチャンスです。
もし答えられるような質問であれば、子どもに分かる言葉で答えてあげるのがオススメです。
しかし大人でも分からないこと、答えにくいことを質問するのが子どもというもの。
そのような質問をされた場合は「なんでだと思う?」と子どもに考えさせてみましょう。
また「わからないから一緒に調べよう!」と一緒に図鑑を見たり、図書館に行くのもいいですね。
正しい答えを子どもに教え、覚えてもらうことが重要なのではなく、子どもに学ぶこと・知ることが楽しい!と思わせることが大切です。
小学生を賢い子に育てるために!親が心得ておくべきこと
子どもと一緒に、親も心がけてほしい
ところがいくつかあるんだ
子どもと一緒に親も学んでいかなければいけないね
「賢い子に育ってほしい」「頭のいい子に育ってほしい」と思うあまり、子どもに色々なことを指示したり、つい手助けをしてしまうことがありますね。
しかし子どもに一方的に求めるだけでは賢い子には育ちません。
子どもを賢い子に育てるためには、親の立場として意識しておかなければならないこと、心得ておきたいこともあります。
「子どものため」と「自分のため」を履き違えない
子供のためのつもりが、どんどん
自分のためになっている親も多いよ
親の感情の押し付けては
いけないよね…
自分の子どもに対して、「こういう人になってほしい」「こんな高校・大学に行ってほしい」「こういう友達と付き合ってほしい」と様々な願いを抱くのは、子を育てる立場としてごく当たり前です。
しかしその願いは子どものためではなく、自分のためになっていませんか?
素晴らしい子どもに育ってほしいと思っているのは、他でもない自分です。
また、言うことを聞かない子に対して「あなたの為を思って言っているの」と言った経験はありませんか?
勉強を怠けていて将来困るのは子ども自身ですので、その言葉は間違いではないかもしれません。
しかし「あなたのため」と言われた子どもは親の言うことを拒否できなくなります。
親が言う「あなたのため」に反論するということは、子どもにとって親の好意を踏みにじる行為だからです。
結果として子どもは親の言うことを聞くようになりますが、自分で考える力を失いますので、本当の意味での賢さから遠ざかります。
確かに子どもが将来困らないよう、親が道筋を指し示すことは大切です。
しかし理想や目標を抱いてそれに向かっていくのは子ども自身であることを意識しましょう。
過剰に子ども扱いしない
子どもに対して「まだ自分では何も考えられない」「自分では何もできない」と考え、親が色々とやってあげなくては、と思っていませんか?
確かに子どもは未熟ですし、善悪の判断をつけることができません。
しかし幼稚園や保育園を経て、小学校に入学した子であれば、自分という存在を意識し、物事を考える力はついているはずです。
文部科学省の「子どもの徳育に関する懇談会」の資料には以下のような記述があります。
小学校低学年の時期の子どもは、 幼児期の特徴を残しながらも、 「大人が『いけない』と言うことは、してはならない」といったよ うに、大人の言うことを守る中で、善悪についての理解と判断ができるようになる。
また、言語能力や認識力も高まり、自然等への関心が増える時期である。
善悪の判断については大人が助言をしなくてはいけませんが、自分で理解をし、判断する力はあります。
賢い子に育てたいのであれば、子どもが自分で考えようとする力を尊重しましょう。
子どもも一人の人間です。
過度に子ども扱いせず、意見を聞いてあげることで、自主的に考える力がどんどん育っていきます。
小学生を賢い子にしたいなら、賢い親になろう
子どもに賢くなってほしいと
願う前にまず親が気をつけなきゃ!
親の接し方次第で
子どもは伸びていくよ!
子どもを賢い子どもにするには、親の心がけが非常に重要です。
子どもへの接し方はもちろんのこと、様々な人とコミュニケーションを取る機会を増やすこと、子どもの学びの芽を育てることが大切です。
そのためには子どもに価値観を押し付けるのではなく、私たち大人が柔軟に考え、臨機応変に対応することが不可欠。
つまり子どもを賢い子にしたいのであれば、親も賢くなくてはいけないという事です。
ここで言う賢さはもちろん学力を指すのではなく、子どもの心を読み取るコミュニケーション能力、子どもが興味を持ちそうなことに関心を持つことを指しています。
子どもの気持ちを尊重し、様々なことを考える機会を与え、自分から学ぶチャンスを奪わない親でいる事を心がけていきましょう。
コメント