「子どもが片付けないままのおもちゃを足で踏んでしまった」
「おもちゃと勉強道具が同じ場所に散らかっている」
など、子どもがおもちゃや勉強道具を片付けないことに対し、イライラしたことはありませんか。
ベネッセ次世代育成研究所の「第1回妊娠出産子育て基本調査」によると、乳幼児の大半の母親が子どもの散らかしたおもちゃを片付けることにストレスを感じていることが分かっています。
”妻の場合、イライラする割合が高いのは「おもちゃや散らかっているものを片付け続けている」「子どもに文句や不平を言われたり、駄々をこねられたりする」「大勢の人がいるような公共の場所で、子どもの扱いに困る」「住居の間取りの使い勝手が悪く、家事や育児がしづらい」「自分のための時間を確保するのが難しい」の項目で、1歳児期で増え、2歳児期でも引き続き高い傾向がうかがえます。
子どもはおもちゃを出しても、片付けることなく次の遊びに手を出してしまうため、親が何もせずに放置していると部屋が散らかっていきます。
自分で片づけができるようになるには、一体どうすればいいのでしょう。
今回は子どもが片づけができない原因と、それを克服するための工夫を解説していきます。
このページの要点をざっくりいうと
子どもが片付けができない原因は性格がだらしない訳ではなく、片付け方を知らないこと、片付けに集中できないこと、親が片付けが苦手だったり口うるさく指示したりしている事が挙げられます。
子どもに片付けを身につけさせるには、まずは子どもが片付けしやすい環境を作りましょう。
そして毎日片付けをする時間を設けて片付けを習慣づけしていってください。
子は親の真似をしますので、親が片付けを積極的に頑張ることもお勧めです。
片付けができない4つの原因とは?
片づけができないのは、その子の性格がだらしないからという訳ではなく、はっきりとした原因があります。
片付けできない理由として考えられる原因は以下の4つです。
片付け方を知らない
子どもに対して「片付けなさい」と伝えたはずなのに、結局何もしていない…ということはないでしょうか。
子どもは「片付けなさい」とだけ言われても何をどうしたらいいのか分からず、結果として片付けができないままになるということもあります。
そもそも幼稚園や保育園、小学校低学年までの頃は「片付け」について学ぶ機会は少ないのが現状です。
園ではお片付けを教えているというイメージが強いですが、小さい子は先生や周りの友達のマネをして片付けをしていることが多いため、自分で「何を」「どこに」「どのように」片付けるかまで考えることはできません。
そのため園や学校では片づけができたとしても、場所が変わると片付け方が分からなくなります。
何をどこにどのように片付ければいいのか、親が子どもにはっきりと分かりやすく伝えることが大切です。
片づけに集中できない
大人でも片づけが大好き!という方は多くありませんので、子どもの場合はなおさらでしょう。
そのため遊びなど他の何かに夢中になっているときに片付けをするよう声をかけても、子どもは動いてくれません。
子どもは大人に比べて集中力が散漫ですので、テレビなど周りに注意をそらすような刺激があるとそちらに気をとられ、片付けに集中できないこともあります。
子どもに片付けをさせるには、片付けに集中できるような状況にすることが大切です。
また部屋が整理整頓がしにくい環境だと、途中で投げ出してしまうこともあり得ます。
戸や引き出し、フタを開ける収納などは大人にとっては簡単でも、子どもにとっては面倒なものです。
子どもでも簡単に片づけができるような部屋の収納を心がけることも重要です。
親が片付けが苦手
片付けが苦手な子ども全員に当てはまるわけではないのですが、親が片付けが苦手だと子どもも片付けが苦手になります。
例えばお客さんが来るときだけ物を押し込んでいる、出したものを出しっぱなしにしているなど、そのような行動をしていると子どもは真似をします。
子どもは何か分からないことがあった場合、大人の行動を真似します。
アメリカのイェール大学で行われた研究によると、子どもは相手の行動が適切なものか分からないまま真似をするということが分かっています。
”大人たちのグループが何人かの3歳児に箱の開け方を示しました。
そのやり方は非常に複雑で、さらに全く意味のない馬鹿馬鹿しい手順をたくさん追加したものであったため、箱を開くまでにかなりの時間がかかりました。
子どもたち自身に挑戦させてみると、彼らは大人が行なった手順を、意味のないものも含めて全てコピーしました。
「片付け方を知らない」の項目で紹介をしたとおり、子どもは片付け方が分かりません。
そこで親が普段行っている片付け方を真似するようになります。
収納扉に押し込む、ベッドの下に入れるなど、大人が付け焼き刃的な片付けをしている場合はそれを真似するようになりますので、心当たりがある方は自分の日頃の片付け方法を振り返ってみましょう。
口うるさく指示してしまっている
片付けをするよう口うるさく伝えるとその時はしぶしぶ片付けますが、それだけでは片づけの習慣は身につきませんので、また同じことを繰り返すことになります。
「親がうるさいから片付けをする」という心理で片づけをするようになるため、勉強をしない子に「勉強をしなさい」と言うのと同様、言わないと片付けをしない子どもになる恐れがあります。
片付けができるようにするためには、片付けを歯磨きやお風呂と同じ「習慣」にすることが大切です。
勉強の習慣化についてお悩みの方は多いと思いますが、片付けは子どもの日々の生活環境に関する事柄であり、勉強よりも手順が簡単ですので習慣化がしやすいはずです。
片付けが習慣化すればまとめて片付けをする、ということがなくなりますし、親のストレスも大きく軽減できます。
「片付けができない子ども」を克服する工夫3選
実際に「片づけができない子」から「片付けられる子」になるために、親ができる工夫を3つ紹介します。
環境を整える
子どもにとって環境を整えることは、片付けを習慣化する上でとても大切なことです。
心がけたい事は
- 単純なアクションで片づけができるようにする
- 場所がはっきり分かるようにする
の2点です。
重ねたものをどかす、ケースのフタを開ける、というような動作は子どもにとって煩わしいものです。
フタがないケースにそのままおもちゃを入れられる、重ねない収納が理想です。
またどこに何を片付けたらよいのか、子どもでもはっきり分かるようにしましょう。
ただ「この箱にぬいぐるみを入れようね」と子どもに口頭で指示しても、片付けを繰り替えすうちにいつの間にか別のものが入っているということがあります。
箱に大きめな写真やラベルを貼っておき、おもちゃの住所をはっきりさせておくと、子どもは毎回それを意識して片付けをするためおもちゃが迷子になりません。
またおもちゃの量が多い場合、思い切って一度押し入れなどにしまい数を減らすのもよいでしょう。
準備に手間がかかるかもしれませんが、片付けを習慣づけることができれば毎日心が清々しく過ごせるようになります。
時間を決める
「片付けができない4つの原因とは?」の項目でもお話した通り、片づけを毎日の習慣にするよう心がけてみましょう。
一番よいのは、毎日の歯磨きやお風呂と同様に片付けをスケジュール化することです。
教育評論家の親野智可等氏は、片付けが苦手な子どもには、毎日片づけをするための時間を作ることが大切だと提唱しています。
”片づけや整理整頓が上手な人は、あえて時間を取らなくても自然にできます。
ですが、苦手な人は毎日同じ時刻に同じ時間を取るしかありません。
時間を取れば誰でもそれなりに片づきます。
片づけや整理整頓のノウハウは、はっきり言ってそれほど関係ありません。どんなにノウハウがあっても実際に時間を取ってやらなければ無意味です。
ただ時間を決めるだけでは取り組まないこともありますので、毎日決まった時間になったらタイマーや音楽が鳴るようにセットしておき、それを合図に5分間片付けをするようにしましょう。
親の声掛け以外の「区切り」があると、子どもも不思議と動くものです。
片付けの手順については「決まった場所におもちゃを入れる」だけですので、難しいことではありません。
さきほど解説をした環境づくりがちゃんとできていれば問題がないはずです。
毎日片付けをするだけの時間を決め、終わったら必ず褒めてあげることで、積極的に片付けに取り組めるようになっていきます。
親が模範を見せる
子どもが親の片付け方法を真似しているというのはお話した通りですが、親の片付け態度は子どもの頃だけでなく、子どもが大きくなってからも影響し続けるということが目白大学院が大学生を対象に行った心理学研究で報告されています。
また男子の場合は父親、女子の場合は母親の普段の片付け態度が影響しているということも明らかになっています。
男性モデルでは「父親の片づけ要求」が、現在の片づけ行動である「分類」と「整頓」への正の影響を示し、女性モデルでは「母親の積極的な片づけ態度」が現在の片づけ行動である「分類」への正の影響を示していたことから、片づけ行動には子どもの頃の同性の親が影響することが示唆された。
子どもはいずれ親元を離れます。
大学に入学したと同時に一人暮らしを始める子もいると思いますが、その時片付けができるかどうかは親の態度次第ということなのです。
子どもの将来のためにも、片付けがあまり得意でないという方は普段の片付けの仕方を見直すことをおすすめします。
自分の部屋はもちろんですが、リビングやキッチンなど子どもがよく目にする場所は物を置きっぱなしにしないように注意しましょう。
子は親の真似をしますので、片付けが好きでなくても片付けに積極的な姿勢を見せると、子どもも積極的に片付けをするようになります。
親子で協力して「片付けができない子ども」から卒業しよう!
子どもが片付けをするようになるには親の工夫が必要です。
まずはどのように片付けをすればいいのか、子どもにとって分かりやすくすること。
そして毎日の習慣に片付けを組み込むようにして、片付けをするのがごく当たり前の生活を作っていきましょう。
しかし子どもがかつてお風呂や歯磨きを嫌がっていた時と同じで、生活習慣を当たり前にするにはある程度の時間がかかるものです。
結果を急かさずに気長に待ってあげるようにしてください。
子どもが片付けしやすい環境を整えたり自分の日頃の生活を振り返ったりしながら、子どもと一緒に片付けができるように試行錯誤していきましょう。
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