最近は小学生でもスマホを持っている子が増えてきていますね。
スマホがあると、ネットを利用して様々なことを調べられるため非常に便利です。
実際に平成30年に内閣府が発表したインターネット利用環境実態調査によると、小学生のインターネットの利用時間は増加傾向にあることが分かっています。
インターネットを利用すると回答した青少年の平均利用時間は、前年度と比べ約9分増加し、約169分。
小学生は、平均利用時間が前年度と比べ約21分増加。
スマホは今や生活に欠かせないツールとなりつつありますが、学生の利用においては学力低下がデメリットと言われています。
しかしそれは本当にスマホが原因なのでしょうか。
今回はスマホの学力低下における影響と、正しい関わり方について解説をしていきます。
このページの要点をざっくりいうと
スマホによる学力低下は、スマホによる睡眠不足、視力の低下が原因ですので、それを防ぐためにはスマホを使う時間帯や使用時間をはっきり決めることが大切です。
また親がスマホの付き合い方に関する見本を見せること、先を見越す力を身に付けさせること、そして今後に備えメッセージアプリやネットの使用ルールについて話し合いをしておくことが重要です。
スマホは子どもの知的好奇心を活性化させるツールですので、親が工夫をしてうまく付き合わせていきましょう。
スマホは学力低下の原因ではない!
スマホを使うことにより学力が低下すると考えている方は多く、専門家の中にもそのように訴えている方がいるのも事実です。
しかしスマホが影響を与えているのは学力そのものではなく、生活習慣なのです。
スマホに夢中になりすぎると、睡眠時間など生活のリズムに大きな影響を与えます。
その結果勉強に身が入らなくなり、結果として学力低下に繋がっていきます。
スマホと生活習慣との因果関係についてはさまざまな調査・研究において明らかになっていて、スマホを長時間使うほど生活習慣が悪化することも分かっています。
中高生ともに、3時間以上の長時間利用は、睡眠、食事、身体活動にわたる生活習慣および飲酒、喫煙と関連が明らかになった。
スマホと学力の関係を考える際はどうしてもデメリットばかりを考えてしまいがちですが、実際にはメリットも多いです。
分からないことや興味を持ったことを調べるツールとして使用すれば、知的好奇心を刺激しますので学力にいい影響を与えます。
また計算や漢字を身につけるアプリ、脳を活性化するパズルゲームなども多く発表されています。
スマホそのものが学力を低下させているわけではありません。
なぜスマホは学力低下に影響すると言われるのか?
それではなぜスマホが学力低下に影響すると言われているのでしょうか?
原因としては以下の2つを挙げることができます。
- 睡眠不足
- 視力の低下
睡眠不足
スマホを使うと生活習慣の乱れにつながるという事は先ほどお話をしましたが、その中でも学力に直接的な影響を与えるのが睡眠不足です。
文部科学省が800の小中高校に調査をした「睡眠を中心とした生活習慣と子どもの自立等との関係性に関する調査の結果」によると、スマホの接触時間が長いほど就寝時間が遅く、寝る直前に情報機器を見ている子ほど朝は起きにくいという結果が出ています。
・携帯電話・スマートフォン(スマホ)との接触時間(ゲーム除く)が長い子どもほど、就寝時刻が遅い。【小・中・高】
・寝る直前まで各種の情報機器(テレビ、ゲーム、携帯・スマホ、パソコン等)に接触することがよくある子どもほど、朝、ふとんから出るのがつらいと感じることがあると回答する割合が高い。【小・中・高】
子どもに限った話ではありませんが、寝る直前にスマホを見ていると、目が冴えてしまいなかなか寝付くことができず、睡眠の質が落ちると言われています。
睡眠時間が不足すると起きている間の集中力が落ち、学力が低下します。
寝る1~2時間前はスマホを見ない、というようにきちんと時間を決めることで影響を軽減することができます。
視力の低下
子どもが勉強をしたり本を読む際に目を近づけすぎていた場合「目が悪くなるよ」と注意する方は多いと思いますが、スマホを使っているときはどうでしょうか。
スマホは画面が小さく字が細かいため、本よりも至近距離で画面を見つめることになります。
細かい文字を至近距離で見ていると目がその状態でピントを合わせることに慣れ、近視になる恐れがあります。
またスマホの画面からはブルーライトが発せられています。
ブルーライト研究の第一人者である眼科医の綾木雅彦先生は、子どもはブルーライトの影響を大人より受けやすいと述べています。
子どもの目はピントを合わせる調節力が強く、また目の中に入る光の量も大人に比べて数倍多くなります。つまり、大人と同じようにタブレットやスマートフォンの画面を見ている場合、光の感受性が高いこともあり、数倍の影響を受けてしまうのです。
大人は疲れないから大丈夫だと思っていても、子どもの目は私たちが思う以上にダメージを受けているのです。
視力が低下すると目が疲れやすくなり、結果として集中力が落ち、学力低下につながります。
ブルーライトをカットできるフィルムや眼鏡を使ったり、スマホの利用時間を1時間以内に区切ることで悪影響を防ぐことができます。
学力低下させない!スマホとの上手な付き合い方3選
スマホは子どもにとって悪ではなく、うまく付き合うことで子どもによい影響を与えるツールになります。
学力低下を防ぐために親が心がけたいこと3つを解説していきます。
- 親の意識を変える
- やるべきことを明確に示す
- ネットリテラシーを身につける
親の意識を変える
スマホが子どもに与える影響を考える上で気をつけたいのは、親自身のスマホとの付き合い方です。
あくまでも例ですが、子どもにスマホをやりすぎないよう注意しているにも関わらず、自分が一日中スマホを見ていては説得力がありませんよね。
子どもと話すときはスマホを見ないようにするなど、ささいな心がけで十分です。
まずは親がスマホと上手に付き合っている、という姿勢をみせましょう。
またスマホの悪影響としてブルーライトによる視力の低下を挙げましたが、子どもほどではなくとも大人にも影響があります。
大人がスマホを長時間操作することでスマホ首(ストレートネック)になり、肩こりや頭痛を引き起こしたり、額や首に皺ができたりする恐れがあります。
スマホを持つ手は体の前方下方向にあるため、それを見るために自然と頭部は肩口よりも前に突き出ます。
それが首へのダメージとなり、様々なトラブルに発展するのです。
子どもと毎日すこやかに過ごすためにも、私たちも普段のスマホの使い方をぜひ見直したいですね。
やるべきことを明確に示す
スマホで動画やネットを観たり、ゲームをしたりしていると時間はあっという間に過ぎてしまうものですよね。
中学生以上になると「勉強をしなくては」などと自分で先を見越し、時間管理ができる子が多くなりますが、小学生の場合はいったん夢中になると時間を忘れてしまいます。
スマホ依存にならないためには「先を見越す力」を身につけさせることが重要です。
ただ小学校低学年の子の場合、将来の夢や目標について現実的に考えることはまだ難しいですので、すぐ先の未来について考えさせるようにしましょう。
「学校の準備をしないと明日どうなる?」
「睡眠不足だと明日学校でどうなる?」
など、少し先の未来であれば低学年の子でも考えられます。
子どもと一緒に先のことを考えて、今何をしなくてはいけないのか、何を大切にすべきなのかをイメージさせましょう。
ネットリテラシーを身につける
スマホなどの便利な電子機器との付き合いはこれからも続いていきます。
小学校高学年以上になると友達とメッセージアプリで頻繁にやりとりをするようになるため、相手の反応が原因で悩むようになったり、トラブルが発生したりします。
相手の反応が気になりスマホを意識してしまう…という経験は大人でもよくあることですので、子どもではなおさらです。
文字だけのやりとりでは感情表現が難しいため、言葉が相手を傷つけてしまいトラブルに発展する恐れがあります。
また子どもとSNSを巡る問題については、以下のような事件も実際に起きています。
・同性・同年齢だと信じて、ネットで知り合った人と連絡先などを交換したら、トラブルに発展してしまった!
・悪ふざけをした写真(または動画)をSNSに投稿したら、炎上してしまった…
・住んでいる場所や学校を特定され、その情報がネットに流れてしまった…
普段からスマホの使用時間や時間帯だけでなく、さまざまなトラブルへの対処法、SNS使用のルールなどを親子間で話し合い、共有することが大切です。
スマホの影響を理解して学力低下を防ごう
スマホを使用することは学力低下に直接繋がるわけではありません。
分からないことを調べ、たくさんの情報に触れることができるため、子どもの知的好奇心を刺激して視野を広げることができるツールです。
しかしスマホを使いすぎると視力低下や睡眠不足に陥り、それが原因で学力が低下することは事実です。
使用する時間と時間帯を決めることで、そのようなスマホのデメリットから子どもを遠ざけることができます。
子どもがスマホを正しく使うようになるには、まずは親が手本を見せることです。
学年が上がるにつれてスマホ原因としたトラブルにも巻き込まれやすくなりますので、普段から対処法やルールについて話をしておくことも重要です。
子どもがスマホにのめり込み過ぎないよう、親が支援をしていきましょう。
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