子どもの知的好奇心を育むコツ。小学生が「自ら学びたい」と思わせるには?

子どもの知的好奇心を育むコツ。小学生が「自ら学びたい」と思わせるには? 親子の教育

子どもには物事に対して受け身でいるより、自分から色々なことを学んでいってほしい、と考える方は非常に多いと思います。

あることに興味を持ち「知りたい!」と思う欲求のことを知的好奇心と呼びます。

知的好奇心が高い子どもは自分から新しいことを学習していきますので、視野が広くなりますし、学校の勉強にも積極的に取り組むことができます。

文部科学省の言語力育成会議の資料「教育内容等の改善の方向」でも、

生活や学習の良い習慣をつくり、気力や体力を養い、知的好奇心を育てること、社会の第一線で活躍する人々の技や生き方に触れたり、自分なりの目標に挑戦したりする体験を重ねることは、子どもの成長にとって貴重な経験となることが指摘されている。

引用元:文部科学省「言語力育成協力者会議」配布資料

知的好奇心を高めるには自然体験が効果的だとよく言われますが、実は日常生活の中でも親の意識次第で十分に知的好奇心を高めることができます。

今回は知的好奇心を育むため、親としてどのように子どもにかかわっていけばいいのか、身近な例を挙げながら解説をしていきます。

このページの要点をざっくりいうと

このページの要点をざっくりいうと

子どもの知的好奇心は、知識と体験が結びついた時、自分の喜びに共感してもらえた時、少し難しい問題に直面したときに刺激されます。

知的好奇心を育て、刺激するには親の働きかけが不可欠です。

知的好奇心を育むコツとして

  • 本人が好きなことにチャレンジさせること
  • 親が一緒に挑戦すること
  • 子の考えを否定せず受け入れること
  • 日常のものを変化させること
  • 新しい発見を見つけること

が大切です。

毎日の生活に変化を取り入れ、親子一緒に知的好奇心を育てていってください。

子どもの知的好奇心が刺激されるとき

子どもの知的好奇心が刺激されるとき

知的好奇心を刺激する方法を実践する前に、実際に子どもの知的好奇心が刺激されるのはどのような瞬間なのかを確認しておきましょう。

知識と体験が結びついたとき

知識と体験が結びついたとき

学校に通う子どもたちは様々な事柄について、実体験よりも知識を先に身に付けます。

例えば理科であれば

「落ち葉の下にはダンゴムシやミミズがいて、落ち葉などを食べて養分に分解している」

「外にゴミを捨ててはいけない」

という二つの事柄は、自然が身近にない子どもにとってはそれぞれ単なる「知識」にしか過ぎません。

しかし実際に森を探索し、土の中に住んでいて落ち葉を分解している生物を観察したり、分解されずに落ちているゴミを発見することにより、持っていた知識が「体験」と結びつきます。

そこで「あの時学んだのはこの事だったんだ」という、自分が持っている知識と体験が結びついた喜びを味わいます。

喜びにより心が動かされるとやる気が上昇し、関連する事柄についてもっと知りたいという知的好奇心が生まれ始めます。

今回の例であれば「ダンゴムシの生態を知りたい」「土に分解されるもの、されないものを知りたい」等、様々な分野に好奇心が広がっていくのです。

勉強はもちろん重要ですが、様々なことに見たり触れたりすることが非常に大切です。

自分の喜びに共感してもらえたとき

自分の喜びに共感してもらえたとき

先述の知識と体験が結びついた時の喜びは、他の人に共感してもらうことでさらに強化されます。

共感してもらえるなら誰でも同じ、というわけではありません。

親しい仲のほうが感情や表情の共感が起きやすいということは心理学の分野でも明かになっています。

人と人との友好関係によって、表情同調はダイナミックに変化する。

例えば、二者間で協力課題を行っているときや、自分と同じスポーツ好きな者といった内集団に属する相手に対しては、表情同調は増加する。

引用元:機関誌 心理学ワールド「顔と顔のつながり─コミュニケーションにおける表情同調」

つまり「共感」は親しい間柄であるほど強くなり、それによって得られる効果も高まるということが言えます。

親が喜ぶ姿を見るのは子どもにとって嬉しいものです。

子どもにとって大切な親に共感してもらえる、喜んでもらえるという体験が、子どもの「より知りたい」「その喜びを分かち合いたい」という欲求に繋がっていきます。

少し難しい問題に直面したとき

少し難しい問題に直面したとき

子どもにとって少し難しい問題に直面すると「これはどうすればいいんだろう」と疑問を持ち、「こうすればできるかも」「こうしたらどうなるだろう」と試行錯誤を行います。

試行錯誤により問題が解決しそうな兆しが見えると、子どもの知的好奇心は強く刺激されます。

あまりに難しい問題ではなく「頑張ればできるかもしれない」という程度の、やや難易度が高い問題のほうが好奇心を持ちやすいです。

問題の難易度と心理の問題については、子どもが問題に取りんだ後にすぐに失敗したり、過度に難しい問題に挑戦し失敗したりするとやる気を失うということが小6生を対象にした調査で明らかになっています。

難しい練習課題を提示され失敗経験をすることになった群では、当然、簡単な練習課題を提示され成功経験をした群よりも、有意に有能感が低かった。

(中略)課題が提示されたばかりの時点で課題に失敗する経験は、成功経験をする場合に比べて有能感を低め、またその後の様々な問題への挑戦に対する意欲も低めることになる。

引用元:学習院大学人文科学論集「テスト教示・練習課題の難易度が内発的動機づけに及ぼす影響について」

実際に頑張った成果を感じたり、自分が立てた仮設を検証したりすることで達成感を得られることができるのです。

試行錯誤をしたあとの達成感が「もっと学びたい」という意欲を高めてくれます。

子どもの知的好奇心を育む5つのコツ

子どもの知的好奇心を育む5つのコツ

日常生活における心がけ次第で、子どもの知的好奇心は育むことができます。

親がすぐ実践できるコツ5つを詳しく紹介していきます。

  1. 興味を持ったことにチャレンジしてもらう
  2. 親が一緒にやる
  3. 否定をせずに受け入れる
  4. 日常のものを変化させる
  5. 新しい発見を見つける

興味を持ったことにチャレンジしてもらう

興味を持ったことにチャレンジしてもらう

知的好奇心を育むためには、親が何かを薦めたり押し付けたりするのではなく、子どもが「やりたい!」と思ったことに挑戦させるのが一番です。

親の立場からすると、できるだけ成績アップに繋がりそうなものや、将来の役に立ちそうなものに取り組んでもらいたいと考えてしまいがちです。

例えば子どもにダンスか英会話のどちらかを勧める場合、どちらを選びますか?

どちらも優れた習い事ではありますが、授業や就職で役に立つ英会話を勧める方のほうが多いのではと思います。

しかし実際に子どもが行うことに親の意向が強く加わると、子どもとしては「親が良いって言った」「押し付けられた」という気持ちが無意識に生じ、子どもは受け身になってしまいます。

できるだけ子どもの「知りたい!」という欲求のままに取り組ませ、とことんまで能動的に探究してもらうことが大切です。

親が一緒にやる

親が一緒にやる

「子どもの知的好奇心が刺激されるとき」でも解説をした通り、知的好奇心の刺激には親の共感が非常に大切です。

しかし子どもが「これ見て!」と言ってきたことに対し、結果だけを見て「よかったね」と声をかけた場合、鋭い子は親が過程をよく見ていないことに勘付くことがあります。

子どもの知的好奇心を育てたいのであれば、親も一緒に取り組み、一緒に発見し、そして共に喜んで共感しあうことが一番です。

そして子どもが興味が持っていることを親がやることは、子どもをよりよく知ることにも繋がっていきます。

例えば家庭菜園や植物の観察を子どもと一緒にやると、どんなところに興味を持ち、どんな風に取り組んでいるのかがよく分かり、子どもの得意不得意などの特徴に気づくことができます。

それによって子どもへの理解が深まり、不得意分野への対策も早く行うことができます。

結果だけでなく過程も含めて子どもに共感ができますので、子どもから親への信頼度は上がりますし、「親の元でなら安心してチャレンジできる」と考えるようになります。

否定をせずに受け入れる

否定をせずに受け入れる

子どもの思考は非常に柔軟ですので、親が考え付かないような突拍子もないことを思いつくことがあります。

それは知的好奇心を満たす過程においても同様で、子どもは大人では考えられないようなとんでもない仮説を立てることがあります。

子どもの「これはこういうことかな?」「こうしたらいいのかな?」ということに対し、たとえそれが突拍子もなく、ありえないことでも最初から否定したり訂正したりせず、まずはその考えを受け入れてあげましょう。

子どもがあれこれと考える探求心は知的好奇心を刺激する上で重要であるということが、先述の資料「教育内容等の改善の方向」でも述べられています。

探究的な活動を行うことは、子どもの知的好奇心を刺激し、学ぶ意欲を高めたり、知識・技能を体験的に理解させたりする上で重要なことであり、自ら学び自ら考える力を高めるため、積極的に推進する必要がある。

引用元:文部科学省「言語力育成協力者会議」配布資料

物事に正解・不正解はありますが、考えること、それを発言することは自由です。

「何を考えてもいいし、自由に発言することができる」という安心感を与えることが大切なのです。

日常のものを変化させる

日常のものを変化させる

子どもの知的好奇心を育むためには、子どもが普段何気なく遊んでいる姿にも注目しましょう。

ゲームのように設定や遊び方が決まっているものも悪くはないのですが、自分の発見や好奇心が反映される、自由度が高いクリエイティブな遊びの時間を少しずつ増やしていきましょう。

小さい子~小学校低学年の子へのおすすめのおもちゃとして、ブロックなどの自由度が高いものが挙げられていることが多いですが、わざわざブロックを購入する必要はありません。

お絵かきや工作など、子どもの発想を生かせる遊びがよい例ですので、ぜひ取り入れていきましょう。

日常生活で出るお菓子の箱やトレーなどの廃材を捨てずにとっておき、工作の材料として与えると、日常にあるものから新しいものを生み出す、変化させるという行為が知的好奇心を刺激してくれます。

新しい発見を見つける

新しい発見を見つける

知的好奇心を刺激するには、新しいものを取り入れることも必要です。

もちろん無理して遠くの場所に出かけたりする必要はありません。

休日の天気が良い日などに親子で近くに散歩に行ったり、よく行くお店への買い物の帰りに違う道を通ったりするだけでも、子どもは様々な発見をします。

「途中の道なんて気に留めてないだろう」と思うかもしれませんが、小さい子どもでも普段と違う道を通ると「いつもと違う」と気がつき、ワクワクしてくれます。

普段は見かけない草や花を見つけたり、キレイな形の石を見つけたりと、子どもは些細な変化で多くのことを発見していきます。

外に出られない場合は、親が積極的に新しい発見をして楽しんでいる姿を見せるだけでも、子どもは「自分もこんな風に楽しんでいいんだ」と考えるようになります。

親も楽しむことで、子どもの新しい発見への探求行動を支援することに繋がるのです。

知的好奇心を育てる「本物の体験」を親子でしていこう

知的好奇心を育てる「本物の体験」を親子でしていこう

親が押し付けるのではなく、子どもが興味を持ったこと、好きだと思ったことを思うままに突き詰めていく体験こそが、知的好奇心を育む「本物の体験」です。

親は子どもを見守る、指導する立場ではなく、一緒に楽しみ共感をすることでより知的好奇心が育っていきます。

勉強をすることはもちろん大切ですが、知識の習得は知的好奇心に支えられているものであり、知的好奇心が育った上で学習意欲は伸びていきます。

知識・技能を生きて働くようにすること、すなわち実生活等で活用することを目指すからこそ、その習得に当たっても、知的好奇心に支えられ実感を伴って理解するなど、生きた形で理解することが重要となる。

引用元:文部科学省「言語力育成協力者会議」配布資料

先を見据えつつ親子で色々なことを楽しみながら日常を過ごしていくことが、知的好奇心を育てていく秘訣です。

様々な「本物の体験」を親子で経験していきましょう。

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