国語は全ての科目に通ずる大切な科目です。
実際ベネッセの行った「学力向上のための基本調査」によると、読解力が高い人は国語と算数の学力も高いことが分かっています。
「読解力」のスコアと、国語ならびに算数の成績とは、ともに正の相関関係が認められ、「読解力」は、国語のみならず算数の学力とも密接な関係があることを示唆している。
同研究では、読解力が高い人は「学びの基礎力」「社会的実践力」、自分から積極的に物事に取り組む力も高いという結果も出ています。
読解力の向上のためには、音読が非常に効果的です。
今回は音読の効果やメリット、子どもが音読をする際に親が気を付けたいことを解説します。
このページの要点をざっくりいうと
音読って良いとは聞くけど実際効果あるの?
音読には集中力向上の他にも、
たくさんメリットがあるんだよ!
音読をすることで、脳が活性化され成績が上がることが研究で分かっています。
実際に音読には集中力が高まる、考える力がつくなどのメリットがあります。
音読でよい効果を得るには子どもの音読を集中して聞き、ミスがあれば優しく訂正すること、内容について質問をすることが大切です。
低学年のうちは知らない言葉が多く、途中で止まったり間違えたりしますので、全て読めたら褒めてあげること、音読を好きになってもらうことを心がけましょう。
音読による効果は絶大!
音読の利点は研究でも証明されているよ
特に就学直後がオススメだ!
そうなの?!
うちもやらなきゃ!
小学校の低学年、特に就学直後のうちは、音読をすることにより文章の理解度が高まること、文字情報の記憶が促進されることが分かっています。
読解に熟達していない児童にとっての音読の利点として、音声情報のフィードバックという側面だけでなく、構音運動によって心的努力を大きくすることで文字情報の記憶が促進される点が考えられる。
しかし音読のメリットは、文章を理解できる、記憶が促進されるだけではありません。
成績が上がる
文部科学省・国立教育政策研究所が発表した、経経済協力開発機構(OECD)が2018年に行ったPISA(学習到達度調査)の結果によると、 読解力の平均点と数学的リテラシーと科学的リテラシーの順位には密接な関係があることが分かっています。
就学前の幼児は話し言葉を使っており、書き言葉を理解する能力、つまり読解能力は就学後に学びます。
先に引用をした教育心理学研究「人はなぜ音読をするのか」では、実際に文章を音声で聞かせた文(聴解テスト)と、音読なしで読ませる文(読解テスト)とで行った課題では、小学校1.2年生のうちは前者の成績が高かったのに対し、5.6年では差がなくなったという結果も出ています。
話し言葉主体だったものが、学習が進むにつれ書き言葉主体に移行し、学習がスムーズに行えるようになっていきます。
話し言葉が主体の頃に音読を行うことで、読む力が身につく前から単語を情報として理解し、覚えることができるため、結果として成績が上がります。
音読だけで成績があがるなら
積極的にやらなきゃ!
これで本が好きになってくれたら
もっと嬉しいね!
脳が活性化する
音読を行うと、黙読をした時に比べて脳が活性化することが分かっています。
NIRSを使用し前頭前野の血流を計測したところ、黙読時に比べ 、音読時や、計算時に脳 のOxy−Hbの割合が増えたことで、脳が活性化したという報告がなされている。
音読をしている間は目で見た言葉を声にしてそれを聞き、それぞれの単語の意味を考えながら話のあらすじや人物の気持ちを考えます。
以上を全て同時に行いますので、脳の働きは自ずと活発になります。
大脳は部位ごとに役目が異なり、視覚情報は後頭葉、言語・聴覚は側頭葉、思考や意欲は前頭葉が働きを担います。
音読時はこれらを全て同時に稼働するということ。
目で見て考えるだけの黙読とは違い、幅広い部位を使わなくてはいけないため、脳が活性化するのです。
音読の効果がもたらす3つのメリット
でも漠然と成績が上がるって
言われてもピンとこないなぁ
そうだね、具体的には
考える力や集中力の向上だよ
では音読をすることにより、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
音読の効果がもたらすメリットは以下の3つです。
考える力がつく
考える力が身につくことで、日常の中の
コミュニケーション能力も向上するんだ
相手の気持を考えたり、自分の思いを
伝えるのにも言葉って大事だもんね
音読をすることで言葉を身につけ、書かれている文の意味が分かるようになると、話の内容も把握できるようになっていきます。
登場人物が何を言っているのか、どのような状況なのかを読み取れるようになります。
会話の内容だけでなく前後の文脈から登場人物の感情を読み取ったり、推察したり等、物事を深く考える力も少しずつ身に付きます。
これは勉強に限られた話ではなく、日常生活でも生かすことができます。
他人の言葉や行動から相手の気持ちを考えようとしたり、状況を把握したりなど、実際の社会生活、人間関係でも考えることができるようになっていきます。
集中力が高まる
集中力が継続する時間には個人差がありますが、未就学児であれば年齢+1分、低学年の子では15分程度だとされています。
しかし低学年の子どもに読書をさせようとしても思ったより集中力が続かない、周りの騒音などが原因ですぐに気が散ってしまう、ということはありませんか?
元々読書が大好きな子どもであれば読書に集中できるかもしれませんが、読書があまり好きではない子の場合、集中して読書をすることは非常に難しいのです。
一方音読の場合は目で文字を追い、声に出し、それを聞くという作業を継続しなくてはいけないため、否応なしに本に集中します。
音読を介して集中する経験を増やすことで集中力が自然と身に付き、長い時間集中できるようになります。
記憶力がUPする
記憶力まで関係するんだ!
記憶を定着させるには何度も
繰り返すことが重要だよ!
人間の脳の記憶は「短期記憶」と「長期記憶」に分類されます。
感覚器官から入った記憶はまず感覚記憶としてごく短い間保存され、その後短期記憶、長期記憶へと移行します。
生命に係わるような非常に重要な情報はすぐに長期記憶になりますが、学問などは簡単には長期記憶になりません。
長期記憶への移行には反復が不可欠です。
短期記憶を「長期記憶」にする過程があります。
長期記憶へとつなげるためには反復学習が必要です。
勉強で学んだことを何度も繰り返し、復習するわけです。
短期貯蔵庫に一時保存された情報を繰り返し復唱して記憶を強化する過程がこれにあたります。
音読をすると、目だけでなく耳、喉も使いますので、同時に複数の感覚器官で反復しているということになります。
そのため記憶が定着しやすく、記憶力アップに繋がるのです。
音読が楽しくなる!効果的なサポート方法
ただ読むだけなら続かなそう…
楽しく取り組める方法ってないかな?
まず親子で取り組むことが大事だね
効果的なサポート方法を解説するよ!
音読が子どもに良いからといって、ただ読ませているだけでは十分な効果は得られません。
親が関わらなければ、子どもが飽きてしまったり嫌がったりする可能性があります。
そこで子どもが音読を楽しむようになり、効果も得られるサポート方法を紹介します。
手を止めて聞く
ついつい家事をしながら聞きがちだ!
反省しなきゃ…
ちゃんと聞いてないと思うと
適当になりがちだからね
子どもの音読は必ず手を止めて聞きましょう。
子どもの音読を聞いていると、途中で退屈になってしまうこともあると思います。
他の行動をしながらでも音読の声は聞けますので、家事をしながら音読を聞く、という方も少なくないでしょう。
しかし親が別の作業をしながら聞いていると、子どもも「集中して聞いていない」と思い、読み方が適当になります。
音読に真剣に取り組んでもらいたいのであれば、まずは親が子どもの音読に真剣になることです。
親が「集中して聞いている」という姿勢を見せることで、子どもも真剣に音読をするようになり、言葉一つ一つの意味や会話の感情に注意を払うようになります。
すぐにほめる
音読を好きになってもらうには、親が褒めることが大切です。
親が褒めることで自己肯定感が上がり、音読を好きになっていきます。
音読はドリルや問題集に比べると単調であり、テストや正答率による成果が見えにくいため、子どもにあまり好かれない傾向があります。
実際にバンダイが行った「小学生の宿題に関する意識調査」によると、音読が好きな小学生は計算ドリルや漢字が好きな小学生よりも少ないことが分かっています。
小学生に好きな宿題・嫌いな宿題を聞いたところ、総合TOP3は好きな宿題・嫌いな宿題共に1位「算数の問題やプリント/算数ドリル」(好きな宿題:24.7%、嫌いな宿題:22.5%)、2位「漢字練習や書き取り/漢字ドリル」(好きな宿題:15.5%、嫌いな宿題:20.3%)、3位「教科書の音読」(好きな宿題:15.3%、嫌いな宿題:12.3%)となりました。
音読を好きになるには子どもにとって何かメリットがないといけません。
音読が終わったら、すぐに子どもを褒めてあげましょう。
「声がちゃんと出ていたね」「○○のところが上手だった」「聞いていて楽しかった」等、具体的な事を伝えてあげると、子どもも「褒められた!」と感じ、やる気アップにつながります。
正しい読み方を教える
間違えたまま覚えてしまわないよう、
優しく指摘してあげよう
音読が嫌いになったら、元も子もないしね
音読の際に句読点の間隔や字の読み方を間違えていた場合は優しく指摘してあげましょう。
小学校低学年のうちは知らない言葉がたくさんありますので、単語を途中で区切ってしまうことがあります。
例えば「まぎらわしい」と書かれていた場合、この語を知らなければ「まぎら・わしい」と区切って読んでしまうかもしれません。
そのような時は叱ったりとがめたりせず、優しく正しい読み方を教えてあげましょう。
「もっと早く読めないの」「こんな言葉も知らないの」等、子どもを責める事は一番よくありません。
音読をしたら怒られるという意識が芽生えてしまい、音読を嫌がるようになる恐れがあるためです。
スピードアップをさせるのは文章に慣れてきてからでも遅くありません。
正しい読み方でスピードアップができれば、音読の効果も上がります。
質問をする
子どもによっては、音読をしていても単に文字を読んでいるだけで何も考えていない、ということもあり得ます。
音読の効果を十分に得るには、音読をしながら物語の流れや人物の気持ちを考えることも必要です。
読みながら考えさせるには、音読後に子どもを褒めると同時に、質問する習慣をつけることが効果的。
「○○は最後にどうしたの?」「この時の○○はどんな気持ちだったのかな?」
というような話の内容に関する質問、「○○のとき、声が大きくなったのはどうして?」など、子どもの読み方に関する質問をしてみてください。
最初のうちは読むことで精一杯でうまく答えられないかもしれません。
その時は「次はそれを考えながら読もうか」と励まし、音読をしながら考えさせる習慣を少しずつつけさせていきましょう。
効果的な音読で楽しく能力UP!
まずは音読を好きになってもらうこと!
教科書でも絵本でも、習慣化させよう
絵本からなら始めやすそう!
子どもによってはあまり音読が得意でない、という子もいます。
低学年のうちは知っている言葉が少ないため、途中で止まったり、間違えたりするのは仕方がないことです。
そこで完璧に読ませよう!と躍起になると、子どもが音読を嫌がるようになる恐れがあるため逆効果です。
たとえ上手でなかったとしても、まずは全て読めたことを褒め、音読を楽しいと思わせることが大切です。
子どもがなかなかやる気にならないのであれば、親子で教科書や絵本を読みあいっこするのもよいでしょう。
そして「楽しい!」という気持ちを持たせること。
音読を習慣化させることができれば、少しずつ効果が表れるようになります。
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